研究課題/領域番号 |
21K12142
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62020:ウェブ情報学およびサービス情報学関連
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研究機関 | 神奈川県立保健福祉大学 (2023) 九州大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
錦谷 まりこ 神奈川県立保健福祉大学, ヘルスイノベーション研究科, 客員研究員 (40327333)
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研究分担者 |
横田 文彦 九州大学, アジア・オセアニア研究教育機構, 准教授 (50760451)
有吉 美恵 関西国際大学, 心理学部, 講師 (50826360)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 高齢者 / ICT / 孤立 / デジタルコミュニケーション / 健康維持 / 社会交流 / 退職前後 / 高齢者差別 / 意欲 / バーチャル交流 / ネットワーク分析 / 就労意欲 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者の自立と積極的な社会参加の促進は喫緊の課題であり、ICT 技術の活用が期待される。高齢者は ICT 技術を敬遠するなど ICTギャップ問題があるが、ユーザビリティに配慮し、心身の機能を考慮し意欲・関心を満たすようなICT利活用を導入することでこれらのギャップ問題の克服が期待される。本研究では、リタイア前後の高齢者を対象にコミュニケーション、健康・生活習慣に関して質的・量的調査を実施してネットワーク分析行い、ICT利活用との関連性を評価する。生活意欲の根源にコミュニケーションや人とのつながりへの欲求の存在を想定し就業やボランティア等の社会参加を促進・継続するICTの仕組みを考案する。
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研究実績の概要 |
本研究は、ICTの活用が浸透した社会環境においてニーズを持つ高齢者とシーズとしてのICTとの双方に注目し、リタイア前後の生活の変化と孤立・孤独化の関連を探り、健康増進と社会活動の継続を目指してICTによる効果的な介入方法を探る可能性研究である。前期高齢者のICT利活用の有無と状態を調査し、リタイア後のコミュニケーションに変化が生じる状況をとらえ、生活習慣と健康状態を考慮したうえで、「生活意欲・関心や人付き合い」と「主観的孤独感、客観的孤立」との関連性を解明する。最終的には、高齢者の自立を実現させるのに有効なICT利用の仕組みの提案を目指す。 2022年度に引き続き、シニアのソーシャルネットワークサービス(SNS)アプリと健康管理アプリの利用実験を実施した。また実験前の母集団の状態を把握するため、高齢者向け就職紹介サービスに登録している高齢者と地域のシニアクラブのメンバーである高齢者を対象として、就労状態や社会活動、ICT利活用の状態や、新しいことを始める際の行動経済傾向について、質問紙で調査を行い継続的にデータ収集した。これらのデータはそれぞれ関連部分をマージして解析中である。 2023年度は母集団把握のための質問紙調査のベースとなる定年前後の年齢にあるシニアの社会交流活動の変化に関する17件のインタビューデータをまとめた。インタビューからは日本の高齢者の交流行動に影響を与えると思われる7つの要因として、日本の年金制度、個人の社会経済的地位、家族構成と居住形態、地域社会の特性、個人の心理的・認知的健康状態、個人の性格などがテキスト分析により抽出された。またテキスト分析の延長で混合法に挑戦し、シニアに対するステレオタイプの偏見を把握する目的でAI画像生成分析を米国メリーランド大学ボルティモア郡校の研究者らと共同で実施した。これらはアメリカ老年学会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度終わりから計画してきたシニア向けICT講座を実施し、ICTの利用状態などの調査研究を行った。また、協力自治体のシニア住民に加え、就職紹介サービスを提供している団体に所属するシニアに対し、スマホアプリを用いたバーチャルコミュニケーションの実験参加者を募りコミュニケーションの双方向性の有無と主観的健康や孤立・孤独感、および自己健康管理アプリの継続利用に関する介入実験を行うことが出来た。計画目標の対象者人数にほぼ達したので、収集したデータをマージして解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究仮説の一つである「高齢であっても就労中もしくは何らかの社会活動に参加している人はICTを利活用する傾向があり、行動経済傾向としてより「リスクを選択」し、「現状を変えていこう」との傾向が強い」ことを中間分析で明らかにしたので、最終データを用いて報文としてまとめる予定である。また、インタビュー結果と同様に、母集団への調査票から退職前後の人付き合いの変化や日々の生きがいに関する自由記入および介入実験でのSNS上のゆるいつながりの中での会話ログからテキストマイニングを行い、いくつかのシナリオもしくはペルソナモデルを作成予定である。これらの内容を国際学会・国内学会のほか、いくつかの科学誌に投稿する。
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