研究課題/領域番号 |
21K12143
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62020:ウェブ情報学およびサービス情報学関連
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
堀川 三好 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 教授 (40337473)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | Webパーソナライズ / 機械学習 / 動作・状態推定 / センシング / UX / オーギュメンテーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、モバイル端末のWeb閲覧に用いるブラウザで収集可能なセンサ情報や操作情報から状態推定を行い、利用者の時、場所および状態を考慮したパーソナライズによる新たなWebサービスを創出することを目的としている。 ①状態推定のためのWebプラットフォーム開発 ブラウザで取得可能なセンサ情報から、動作推定が可能かの検証を行う。また、操作情報および動作推定結果の時系列変化を考慮したマルチモーダル学習による状態推定手法を開発する。 ②状態推定を用いたパーソナライズ技術の開発 状態推定を活用した「動的デザイン・レイアウト生成」「Push型情報配信の適正化」および「レコメンデーション手法の提案」に取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究では,購入・閲覧履歴,利用者属性,時間や場所等の情報に加えて、利用者の状態を考慮したWebパーソナライズの実現を目指している。 令和3年度までにWebプラットフォームにて利用可能な「ブラウザで収集可能な加速度・角速度センサからモバイル端末の基本保持姿勢を4分類する動作推定モデルの構築」を行った。また、Webパーソナライズに利用するためには単なる「動作」ではなく、一連の動作をまとめた「状態」を推定する必要があり、状態の切り替わりを検知する変化点手法導入の検討を進めた。すなわち、状態区間推定、区間内の動作推定およびタップなどの操作情報から状態推定を行う方法を提案した。 令和4年度は、上述の状態推定手法の開発と有効性の検証に取り組んだ。特に、「高精度な状態区間推定のための変化点検知手法の開発」および「状態推定を活用したWebデザイン変更アプリケーションの開発と有効性の検証」を行った。これらの成果は、第21回情報科学技術フォーラム(FiT奨励賞受賞)や情報処理学会第85回全国大会にて発表した。 状態区間推定の変化点手法としては、加速度センサから得られるデータをもとにChange Finder(自己回帰モデル)を適用し、忘却率・平準化区間などのパラメータ設定方法や個人パーソナライズ方針について検証をした。併せて、JavaScriptを利用した状態区間推定および動作推定(TensorFlow.jsを用いたCNN-LSTM)ライブラリを開発し、状態推定結果に応じて適切にデザイン変更を行うプロトタイプアプリに適用した。リアルタイム性や精度は、実験時と同等であり問題がないことを確認した。この開発アプリを2社の協力企業にプレビューいただき、今後の開発方針や実務適用へのアドバイスをいただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の内容にそって当初計画より順調に研究が進んでいる。また、IoTや機械学習の社会適用が浸透しているため、プライバシー保護を考慮した提案パーソナライズ手法は、企業にとっても感心が高いようである。以下に計画に対する進捗状況を示す。 ①動作・状態推定のためのWebプラットフォーム開発 「(a)動作推定を行うための学習モデルの検討およびプロトタイプ開発(2021年度)」「(b)状態推定を行うための学習モデル構築方法の検討(2021-2022年度)」ともに検討・開発を終了し、プロトタイプアプリへ実装した。 ②状態推定を用いたパーソナライズ技術の開発 「(a)動的デザイン・レイアウト生成(2022年度)」については、プロトタイプアプリを開発し、協力企業にプレビューいただきフィードバックを得た。令和5年度は展示会等に出展し、実務適用を目指す。「(b)Push型情報配信の適正化(2022-2023年度)」については、令和4年度までに小売店を対象としたプロトタイプアプリを作り実証実験にて有効性を検証した。「(c)レコメンデーション手法の提案(2022-2023年度)」については、協力企業からのアドバイスにもとづき、特定サイトの滞在時間、クリック率と状態推定の関係を明らかにする必要があるという助言を得た。令和5年度は、ニュース要約サイトをプロトタイピングし、実証実験を通して状態がWeb閲覧に及ぼす影響を確認した上で、レコメンデーション手法の検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
残された「(c)レコメンデーション手法の提案」については、まずは状態推定がWeb閲覧に及ぼす影響を分析する必要があることがわかった。そのため、状態推定が可能なニュース要約サイトを開発中(8割完成)であり、6月から8月に学生達による検証実験を計画している。分析結果に基づき、どのようなレコメンデーションへの適用が可能かを検討する予定である。 また、令和4年度までに企業と協働で試行した健康推進Webサービスの開発・リリースで得た知見から、実務適用における課題はクリアしていると考えており、展示会や企業への情報提供を積極的に行いながら更なる実証実験や事業化を目指すこととしている。
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