研究課題/領域番号 |
21K12171
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62030:学習支援システム関連
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
岡田 信一郎 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 講師 (60271756)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 教育支援システム / 反復学習 / 学習間隔 / データベース教育 / 分散学習 / 得点計算法 / 学習支援システム |
研究開始時の研究の概要 |
学習間隔を空けずに行う反復学習は「集中学習」と呼ばれ、効率が悪いことが知られている。研究代表者らは適切な間隔を空けて学習を行わなかったときに低い得点を与えることで、反復学習の効率低下を防ぐ「学習間隔に応じた得点計算法」の評価を行っている。 すでに、この評価のために開発された実験用システムによる実験では学習効果が高いことが確認されている。 本研究では、実際の授業で運用されている「SQL実習支援システム」「リレーショナルデータモデル演習システム」に、この得点計算法を適用し、実際の授業での運用を行う。そして、運用で得られたデータを分析し、学習者の行動に与える影響、学習の効果、改善点を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
2021年度までに、学習間隔に応じた得点計算法をSQL実習支援システム、リレーショナルデータモデル演習システムの2つのシステムへ適用する作業が完了しており、実際の授業で運用、学習履歴などの運用データの収集が開始されている。 2022年度は、学習者の学習行動の詳細な分析、および継続的な運用データ収集を行った。 学習行動の詳細な分析は、2021年度のリレーショナルデータモデル演習システムの学習履歴を対象に行われた。それぞれの学習者の学習履歴を学習項目で分け、学習日時順に並べ、学習間隔を調査した結果、ほとんどの学習が学習間隔を空けたものになっていた学習者は5%、学習間隔をほとんど空けない学習者は18%にとどまった。残りの多くの学習者は学習間隔を空けた学習と空けない学習が混在しており、典型的なものには、おおむね間隔を空けた学習を行っているが、不正解の直後にのみ間隔を空けずに学習を繰り返す(38%)、学習期間の終了直前になると間隔が短くなる(21%)、などがあることが確認された。また学習期間終了後の期末試験の結果をこれらの学習方法の違いと対応させた結果、学習間隔をほとんど空けない学習者は期末試験の得点率が低い傾向が見られた。 継続的な運用データの収集については、2022年度中に、SQL実習支援システムでは学習履歴54名分、アンケート回答31名分、期末試験の得点率54名分が得られており、リレーショナルデータモデル演習システムでは、学習履歴51名分、アンケート回答26名分、定期試験の得点率51名分のデータが得られている。現在、これらの運用データに対して先述の詳細分析を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実績の概要で説明した学習者の行動の特徴が確認できるまでには、いくつかの試行錯誤があった。最初に平均値のような基本的な統計値を求めたが、学習者の行動の特徴をとらえることができなかった。その後も基本的な統計手法をいくつか試した結果、一人一人の学習履歴を目視で確認することが必要との判断となった。学習履歴を学習項目で分け、学習日時順に並べた表を目視で確認することにより、ようやく先述の学習者の傾向を得ることができた。試行段階も含めると数種類のデータ集計プログラムを開発することになったこと、さらに人手による分析が多くなったことから、結果が得られるまでに時間がかかってしまった。そのため、年度内の詳細なデータ分析は2021年度のリレーショナルデータモデル演習システムのデータだけに止まり、SQL実習支援システムのデータ、2021年度以外のデータの詳細分析は年度内に完了しなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度の分析により、主となる分析手法が確立したため、現在、SQL実習支援システムの運用データへの適用を行っている。さらに自動化できる作業のプログラム化により、1年分のデータ分析にかかる時間は短縮されているため、2021年度以外のデータ分析も進めている。 これらの分析結果の一部は、6月に学会発表することが決まっている。そして2023年度の早い段階で、システム間の比較、年度間の比較も行えるようになるため、計画全体のまとめを行う予定である。
|