研究課題/領域番号 |
21K12209
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
丸尾 雅啓 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (80275156)
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研究分担者 |
岩田 智也 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50362075)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | メチルホスホン酸 / P(+III) / 西湖 / リン循環 / 水温躍層 / 水酸化鉄(III)共沈法 / 琵琶湖 / イオンクロマトグラフィー / 回収率向上 / マトリックス除去 / メタン極大 |
研究開始時の研究の概要 |
水環境中のリン循環を担っているのはリン酸(+V)とその化合物と考えられてきたが、近年では外洋そして湖沼でもリン(+III)であるホスホン酸類がリン循環を担っているもう一つの重要な因子である可能性が指摘されている。水中での存在が確認されている亜リン酸、メチルホスホン酸をはじめとするホスホン酸類の定量法を実用化し、好気的代謝起源と推定されるメタン極大層を水温躍層下部に形成する西湖や琵琶湖におけるホスホン酸類の現存量を明らかにする。そしてP(+III)のリン循環への寄与を明らかにする。
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研究実績の概要 |
メチルホスホン酸の季節変動を追うべく、2023年8月29日と10月18日に,西湖の湖心部(11深度),流入河川:入沢川,流出部で採水した.前年度までに開発した水酸化鉄 (Ⅲ) による共同沈殿濃縮法を用いて、メチルホスホン酸を選択的に試水から分離濃縮した.試水中のオルトリン酸、そして濃縮後のメチルホスホン酸をイオンクロマトグラフィーによって定量した.メタン濃度もデータを提供いただくことができた. 8月の試料を測定したところ、水温躍層(8.5 m)において,メチルホスホン酸を検出できた(0.5 nmol/L).最深部(67m)を除き,他の深度では検出限界以下(<0.07 nmol/L)であった.なお,水温躍層におけるオルトリン酸濃度は検出限界以下(<0.3 nmol/L)であり,同深度より少し浅い7.5mでメタン濃度が極大を示した(0.53 μmol/L) .一方10月は水温躍層(11m)において,メチルホスホン酸,オルトリン酸いずれも検出限界以下であり,メタン濃度の極大(0.51μmol/L)が確認された.メチルホスホン酸濃度は水温躍層の少し上部(9.0 m)で0.3 nmol/Lであった.入沢川は,メチルホスホン酸濃度が8月に0.4 nmol/L,10月に1.2 nmol/Lと高濃度であり、オルトリン酸濃度は8月より10月の方が高く,メタン濃度は逆になった. 水温躍層に近い深度でメチルホスホン酸が検出され、一方でオルトリン酸は検出限界以下であったことから、メチルホスホン酸の消費がうながされる状態が起こっていた可能性がある。一方で、入沢川のように、高濃度のメチルホスホン酸をふくむ水の流入が影響している可能性もあることから、今後西湖の集水域の影響について詳細な検討が必要と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は新型コロナウイルス感染症が夏季に蔓延したため、西湖への調査を取りやめざるを得なかった。このために試料採取の頻度が低く、さらなるデータ取得が必要となっている。2024年度は再度試料採と定量を広範囲に行い、集水域の影響についても考察できるデータセットをそろえたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上述したように、メチルホスホン酸の濃度分布等、十分なデータが得られていないので、今夏を中心に再度試料採取と定量を行う予定である。また、集水域の影響について詳細に調査したいと考えており、共同研究者のサポートのもと、沿岸域においても複数の採水を行い、メチルホスホン酸が沿岸由来なのか、西湖の沖帯での生成が中心なのかを確認する予定である。
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