研究課題/領域番号 |
21K12210
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
|
研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
定永 靖宗 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70391109)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 環境計測 / 有機硝酸 / 無機硝酸 / 越境汚染 / 東アジア / 硝酸態窒素 / 存在状態 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の東アジア地域においては大気汚染物質の排出動態が変化しており、それに伴い日本を含む東シナ海縁辺地域では、窒素酸化物由来の越境汚染の重要性が高まっている。窒素酸化物由来の主要な越境汚染成分である硝酸態窒素は、ガス状か粒子状か、無機か有機かで、大気環境だけでなく地球環境に対する影響も大きく異なる。本研究では、越境汚染を強く受ける西日本の清浄地域において、ガス状・粒子状別かつ無機・有機別での硝酸態窒素の連続観測を初めて実施し、それらの動態を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
東アジア地域では近年、窒素酸化物の排出の寄与が相対的に大きくなっており、東シナ海縁辺地域において、窒素酸化物由来の越境汚染の重要性が高まっている。硝酸態窒素は窒素酸化物由来の主要な越境大気汚染物質であるが、東シナ海縁辺地域で硝酸態窒素を詳細に調べた研究例はほとんどない。本研究では、越境汚染を強く受ける西日本の清浄地域で、硝酸態窒素について存在状態別でかつ、無機・有機別での連続観測を実施する。得られたデータを解析し、様々なパターンで越境輸送される大気中の無機・有機硝酸について、存在状態を含めた動態を明らかにする。 令和4年度では、令和3年度末から引き続き、五島列島福江島において無機・有機硝酸の連続観測を令和4年5月まで実施した。また、同年11月から連続観測を再開し、令和5年5月まで実施予定である。 前年度の概要では主に無機硝酸の解析結果を述べたので、本年度の概要では、主に令和4年2月から5月にかけて測定された有機硝酸の解析結果について説明する。なお、有機硝酸のうち過酸化物のものをPNs、そうでないものをONsと定義する。PNs, ONs ともに 3 月に濃度が最大となった後、4, 5 月にかけて濃度が減少する傾向が見られた。この濃度減少については、4, 5 月にかけて日射量が増加し、OH ラジカル濃度や気温が高くなったことによることが原因の一つとして考えられる。また、2, 3 月においては、中国から直接福江島に到達した気塊の PNs, ONs 濃度が高い傾向にあったが、4, 5 月においては直接ではなく、朝鮮半島を経由した気塊のほうが、PNs, ONs 濃度が高い結果が得られた。この理由として、大陸から福江島へ到達する気塊の輸送時間と、PNs, ONs の大気寿命の関係性が考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の研究計画は、令和4年5月まで長崎県福江島で無機硝酸と有機硝酸の同時連続観測を実施し、同年秋頃から観測を再開することであった。先年度秋からの観測についてはCovid-19の影響により、当初予定より観測開始が2ヶ月程度遅延したが、今年度は予定通り観測を開始することができた。また、現時点で連続観測に支障をきたす大きなトラブルは生じておらず、おおむね順調に進展している状況と考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
現時点ではおおむね計画通りに進んでいるため、令和5年度においても当初計画通りに進める予定である。具体的には、現在の観測を令和5年の夏前まで継続して実施する。また、令和5年の秋頃に観測を再開する。一方、現在実施している観測結果を用いて、本格的な解析を開始する。具体的には、大陸からの越境汚染が起こっている事例を抽出し、福江島で同時に観測を行っている種々の大気汚染物質との関係性を調べる。特に、硝酸態窒素の主なカウンターパートであるアンモニア、アンモニウム塩との関係、また、硫酸塩との関係性について、詳細に解析を実施する予定である。
|