研究課題
基盤研究(C)
近年の東アジア地域においては大気汚染物質の排出動態が変化しており、それに伴い日本を含む東シナ海縁辺地域では、窒素酸化物由来の越境汚染の重要性が高まっている。窒素酸化物由来の主要な越境汚染成分である硝酸態窒素は、ガス状か粒子状か、無機か有機かで、大気環境だけでなく地球環境に対する影響も大きく異なる。本研究では、越境汚染を強く受ける西日本の清浄地域において、ガス状・粒子状別かつ無機・有機別での硝酸態窒素の連続観測を初めて実施し、それらの動態を明らかにする。
アジア大陸から越境輸送される大気中の無機・有機硝酸についての動態を解明することを目的に、長崎県福江島において、無機・有機硝酸の連続観測を実施した。無機硝酸についてはほとんどの場合、粒子態の濃度がガス態に比べて高い結果であった。無機硝酸の濃度変動に関して、粒子態については濃度変動が主に長距離輸送に支配されている一方、ガス態については長距離輸送だけではなく、近傍での生成の寄与もあることを示唆する結果が得られた。有機硝酸については、ほぼ100%がガス態として存在していることがわかった。越境輸送される有機硝酸の濃度変動に関しては、輸送過程における光化学反応進行度の大小に大きく影響する結果が得られた。
本研究により、アジア大陸から越境輸送される無機・有機硝酸の存在状態別での動態が初めて明らかとなった。日本の位置する東アジア地域においては、近年では窒素酸化物や揮発性有機化合物の排出量が特に増大している地域である。すなわち、東アジア地域では有機・無機硝酸の相対的重要性が今後増してくると考えられる。そのため、大気中の無機・有機硝酸に関する研究は、越境大気汚染を含めた大気環境問題において、重要な研究分野となる可能性がある。今後も無機・有機硝酸の観測事例の積み重ねを、特に越境輸送の影響の大きい西日本地域で実施することが意義深いと考えられる。
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