研究課題/領域番号 |
21K12222
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岡崎 裕典 九州大学, 理学研究院, 准教授 (80426288)
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研究分担者 |
小野寺 丈尚太郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(北極環境変動総合研究センター), 主任研究員 (50467859)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 珪質微化石 / 西太平洋縁海 / 最終氷期・最終退氷期 |
研究開始時の研究の概要 |
ベーリング海・オホーツク海・日本海・東シナ海の水温・塩分・海氷被覆変動は、日本列島を含む極東の気候、特に気温や降水・降雪に大きな影響を与えている。本研究では、西部北太平洋縁海における最終氷期最盛期(LGM, 約2万年前)以降の数百年から千年スケールの海洋環境変化を、海底堆積物中に保存された珪質微化石を用いて復元する。特にLGMの日本海の古水温記録を復元し、対馬暖流の流入時期を特定する。また、海氷珪藻種を用いて、LGMのオホーツク海・ベーリング海の海氷分布を復元する。
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研究実績の概要 |
2022年4月に実施された新青丸KS22-4航海に参加し、東シナ海沖縄トラフにおいて堆積物試料と表層海水試料を採取した。採取した堆積物コア試料の年代軸を入れるために、浮遊性有孔虫殻を拾い出し、酸素同位体測定を行い最終氷期以降の層準を含む試料であることを確認した。また、表層海水試料中の珪藻群集を走査型電子顕微鏡観察し、黒潮が流れる沖縄トラフ西縁に沿った珪藻群集組成は南北で大きく変わらず、小型の海棲浮遊性の暖水種と沿岸種から構成され、Paralia属をはじめとする底生種はほとんど産出しないことがわかった。日本海の珪質鞭毛藻群集のモダンアナログ法による海表面水温復元について、Progress in Earth and Planetary Science誌特集号への投稿を予定し原稿を執筆中である。ベーリング海バウアーズ海嶺コア試料について、浮遊性有孔虫14C年代の逆転について再度調査した。堆積物試料の観察見直し、XRFコアスキャナーデータとの比較を踏まえ、珪藻群集と放散虫群集データの評価を行ったところ、最終退氷期のヤンガードリアス期に、近隣のコア試料では見つからない極めて高いCa濃度ピークがあることがわかった。このCaピークはベーリングアレレード期の14C年代値を示す浮遊性有孔虫殻によるものであった。珪藻群集と放散虫群集、生物生産と関係が深い臭素濃度は、ヤンガードリアス期の異常値を示さず、浮遊性有孔虫の選択的な濃集・再堆積が起こった可能性がある。ベーリング海堆積物中の放散虫群集について、自動顕微鏡による画像取得を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
西太平洋縁海において、珪藻群集・放散虫群集・珪質鞭毛藻群集の研究を進めた。 東シナ海の珪藻群集分布研究は順調に進捗した。 日本海の珪質鞭毛藻群集のモダンアナログ法による海表面水温復元については、論文の公表が遅れている。 ベーリング海の珪藻群集と放散虫群集については、群集データは揃ったが、退氷期の浮遊性有孔虫14C年代異常値を踏まえて再堆積を考慮した議論の再構築が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
珪質鞭毛藻群集のデータベースを構築し、日本海の珪質鞭毛藻群集のモダンアナログ法による海表面水温復元を論文にまとめる。 西太平洋縁辺海における珪藻群集の分類・分布をまとめる。 ベーリング海堆積物試料について、堆積場を考慮した議論をまとめ学会発表し議論を深める。
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