研究課題/領域番号 |
21K12224
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
千賀 有希子 東邦大学, 理学部, 准教授 (30434210)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 硝化 / ヒドロキシルアミン / 富栄養化 / 干潟 / レジームシフト / 窒素循環 |
研究開始時の研究の概要 |
谷津干潟(千葉県)では,過剰な窒素栄養塩の負荷によって富栄養化が進行し,大型海藻アオサの突発的かつ爆発的な増殖が観測されてきた.しかしながら,近年アオサは突然衰退し,ラン藻オシラトリアや海藻オゴノリといった他の藻類の出現がみられるようになった.このような生態系の変化をレジームシフトと呼んでいる.本研究では,このようなレジームシフトがなぜ起こるかを明らかにするために,窒素栄養塩を代謝する微生物過程に着目し,その窒素除去過程と貯留過程を化学分析と分子微生物学的解析から解明するものである.本研究によって富栄養化による干潟のレジームシフトの予測が可能となり,干潟の富栄養化対策に言及できると考えられる.
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研究成果の概要 |
本研究では,富栄養化水域谷津干潟における硝化過程を時空間的に把握するために,硝化によって生成されるヒドロキシルアミンのモニタリングを行った.2021年から2022年における海水と堆積物間隙水のモニタリングの結果,ヒドロキシルアミン濃度は間隙水の方が海水よりも高かったことから,硝化が活発に起こるサイトは堆積物表層であると考えられた.また統計解析により,堆積物表層における硝化は,温度と海水および間隙水のNH4+基質の供給に依存しており,還元環境の形成によって阻害されることが示された.谷津干潟内の水の滞留による嫌気環境の形成が硝化を阻害し、その後の窒素除去過程である脱窒も抑制する可能性が示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の当初の目的は,15Nトレーサー法を用いて微生物的窒素除去過程(硝化-脱窒,硝化-アナモックス)と貯留過程(硝化-DNRA)を追跡する予定であったが,コロナ感染対策により同位体測定装置を使用する予定であった研究機関への出入りが禁止され,計画通りに研究を遂行することができなかった.しかしながら,本研究で用いたヒドロキシルアミンの測定によって,硝化過程の進行を十分に明らかにすることができることがわかった.ヒドロキシルアミン測定法は,15Nトレーサー法よりも短時間かつ低コストで行うことができる.またこの方法は測定操作も簡便であるため,今後様々な環境下で硝化を評価する際に応用できると考えられた.
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