研究課題/領域番号 |
21K12244
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
|
研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
西 良太郎 東京工科大学, 応用生物学部, 准教授 (80446525)
|
研究分担者 |
逆井 良 金沢医科大学, 医学部, 講師 (10549950)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | DNA二本鎖切断 / 相同組換え修復 / DNA修復 / DNA二本鎖切断修復 / 相同組換え / 核内ミオシン / クロマチン動態 |
研究開始時の研究の概要 |
電離放射線などにより生じるDNA二本鎖切断(DNA double-strand break: DSB)は最も細胞毒性の高いDNA損傷の一つであり、適切なDSB修復はゲノムDNAの恒常性維持に必須である。これまでにDSB修復の基本的な分子機構が解明されてきたが、DSBの修復には隣接する核内構造体によっても制御される特異的な機構が存在する。このことは、ヒト細胞核内ではDSB修復は画一的な反応ではなく、DSBが生じた環境によって制御される多様性に富む反応であることを示唆するが、未だその全容は不明である。本研究では、多様なDSB修復のなかでも重要なサブパスウェイを同定し、解明することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
電離放射線などにより生じるDNA二本鎖切断(DNA double-strand break: DSB)は最も細胞毒性の高いDNA損傷の一つであり、適切なDSBの修復はゲノムDNAの恒常性維持に必須である。ヒト細胞におけるDSB修復機構は、主に非相同末端再結合及び、相同組換え修復である。これらのうち、相同組換え修復は損傷を受けていない姉妹染色分体を鋳型としてDSBを修復するため、非常に忠実度の高い修復機構である。これまでに我々は、遺伝子領域に生じたDSBは、隣接する核内構造体(核スペックル)により制御される特異的な相同組換え修復によって修復される可能性を報告してきた。このことは、ヒト細胞核内では相同組換え修復は画一的な反応ではなく、DSBの置かれた周囲の環境によって制御される多様性に富む反応であることを示唆するが、未だその全容は不明である。そこで本研究では、相同組換え修復のサブパスウェイあるいは、新たな制御機構を解明するために、非相同末端再結合及び相同組換え修復の最上流で機能するMRN(MRE11-RAD50-NBS1)複合体 と相互作用する新規因子を探索した。MRN複合体を構成する因子のうち、MRE11はヌクレアーゼ活性を持つため、その制御が重要であると想定し、MRE11をベイトとした質量分析を行った。その結果、核内ミオシンがMRE11と相互作用することを見出したため、核内ミオシンのDSB修復における役割を明らかにすることを目的とした。そのために、核内ミオシンとの相互作用を特異的に欠失するMRE11変異体を作成し、この変異MRE11を発現する細胞株を用いて生物学的意義を明らかにすることとした。そこで本年度は、MRN複合体と核内ミオシンの相互作用部位の同定を、種々のMRE11変異体を用いて試みた。また、これに加えて、内在性の核内ミオシンをノックアウトした細胞株を樹立し、そのDSB修復における表現型を解析することにより、核内ミオシンによって制御されるDSB修復の解明を試みた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
これまでに核内ミオシンと相互作用するMRE11のドメインを特定するには至っているが、一アミノ酸残基レベルでの相互作用部位の解析には至っていない。そのため、MRE11変異体を発現する細胞の解析が開始できていないため、遅れていると判断した。また、核内ミオシンのノックアウト細胞の樹立においては、ヘテロノックアウト細胞を得ることはできたがノックアウト細胞の樹立には至っていないため。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き核内ミオシンとの相互作用を欠くMRE11を用いた解析をすすめる。また、核内ミオシンのノックアウト細胞の樹立に関しては、2種類の選択薬剤を用いる方法によりノックアウト細胞を得られる可能性を高める。これに加えて、核内ミオシンのノックアウトが致死である可能性を想定し、プランBとして核内ミオシンをshort interfering RNAを用いてノックダウンし、細胞の表現型を解析することをすすめる。
|