研究課題/領域番号 |
21K12248
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
中野 敏彰 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 主幹研究員 (10526122)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | DNA損傷 / cluster DNA damage / irradiation / クラスターダメージ / フランキングDSB / クラスター損傷 / 高複雑度DSB / 原子間力顕微鏡 / Direct visualization / ionizing radiation / atomic force microscope / clustered DNA damage |
研究開始時の研究の概要 |
細胞及びマウスの腫瘍にDNA損傷誘発剤(抗がん剤)や放射線を暴露・照射し、それにより生じる個々のDNA損傷(塩基損傷・クラスター損傷・DSB損傷(通常タイプ)・DSB+塩基損傷)の生成量や複雑度を求める。また、それらを系時的に分析することによりそれぞれの修復機構や修復のされやすさを分子生物学的に解析する。さらに、これらの情報と致死効率を比較することで個々の損傷が及ぼす生物影響を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
放射線が誘発するDNAの局所的な多重損傷部位(クラスター損傷)は、放射線の生物学的影響と密接に関係していると考えられている。しかしながらこれまでクラスター損傷を解析する方法がなかった。そこで我々はDNA損傷にラベルをすることでDNA損傷位置を原子間力顕微鏡(AFM)で可視化可能なサイズにしAFMによるDNA損傷の観察および解析を可能にした。この手法を用いて、電離放射線を照射したTK6細胞から抽出したゲノムDNA中に生じる個々の種類のDNA損傷の生成量及び修復速度を計測することで、個々のDNA損傷の修復機構を明らかにすることに成功した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果により、鎖切断を伴わないクラスターDNA損傷(シンプルクラスター損傷や高密度クラスター損傷)は効率的に修復される一方で、DSBを伴う高複雑度DSB(DSB+塩基)は特に高LETの鉄イオン照射後に長期間生体内に存在し続けることを明らかにした。これにより、クラスターDNA損傷の定量と修復効率の評価が可能となり、電離放射線の生物学的影響を理解する上で極めて重要な知見が得られた。本研究は、放射線治療や化学療法による腫瘍治療、および正常細胞の発がんリスクに関連するクラスター損傷の生物学的影響を評価する上で重要な進展をもたらすと考えられる。
|