研究課題/領域番号 |
21K12255
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63030:化学物質影響関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
河崎 陽一 岡山大学, 大学病院, 薬剤主任 (40582101)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 重合開始剤 / エストロゲン様活性 / 免疫不全マウス / 乳がん腫瘍増大 / 注射薬 / エストロゲン受容体 / 乳がん / 内分泌かく乱作用 / 遺伝毒性 |
研究開始時の研究の概要 |
乳がんは,世界で2番目に多いがんであり,その発生メカニズムは十分に解明されていない.そのような中で,申請者は乳がん治療にも用いられるプラスチック製容器に充填された注射薬中に重合開始剤が混入している事実を世界で初めて発見し,世界に先駆けて重合開始剤の毒性を評価してきた.本研究では,これまでの研究成果のなかで最も重要視している重合開始剤のがん細胞増殖促進作用に着目し,本化合物が生体内において乳がん組織の増大に関わるタンパクの発現をコントロールしているとの発想に至った.したがって,本研究では,重合開始剤の乳がん細胞増殖促進の介在因子を明らかにする.
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研究実績の概要 |
これまで、我々は臨床現場で汎用されているプラスチック製医薬品容器に充填された注射薬3種類の重合開始剤1-hydroxycyclohexyl phenyl ketone(1-HCHPK)、Methyl 2-benzoylbenzoate(MBB)および2-methyl-4'-(methylthio)-2-morpholinopropiophenone(MTMP)を検出した。インクや歯科用樹脂に使用されている重合開始剤の中には、内分泌かく乱作用を有するものが報告されており、我々の研究においても、上記3種類の重合開始剤ならびに2,2-dimethoxy-2-phenylacetophenone(DMPAP)、2-ethylhexyl 4-(dimethylamino) benzoate(EHDAB)および2-isopropylthioxanthone(ITX)を含めた6種類の重合開始剤がヒト乳がん細胞株に対してエストロゲン様作用を示すことを明らかにしている。また、ヒト乳がん細胞株において、エストロゲン受容体(ER)拮抗薬と6種類の重合開始剤を併用してE-screen assayを実施したところ、重合開始剤によるがん細胞増殖効果が抑制された。この結果から、これらの重合開始剤エストロゲン様作用は、ERを介したものであることが示唆された。 そこで、本研究では乳がん細胞株MCF-7を移植したヌードマウスを用いて、in vivoにおける1-HCHPK、MBBおよびMTMPの3種類の重合開始剤の生体への影響について検討した。その結果、3種類の重合開始剤は、MCF-7腫瘍の推定腫瘍重量を増加させた。また、タモキシフェンの前処置により、各種重合開始剤による推定腫瘍重量の増加は有意に抑制された。このことから、重合開始剤による腫瘍増大効果は、少なくともERを介したものであることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物実験は、ほぼ順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
乳がん細胞株MCF-7を移植したヌードマウス内で増大した腫瘍を摘出し、乳がん組織内のER、HER2ならびにプロゲステロン受容体の発現量をウェスタンブロット法を用いて測定する。
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