研究課題/領域番号 |
21K12264
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63040:環境影響評価関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
斎藤 健志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (30735668)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 地中熱利用 / 持続的運用 / 地下熱・地下水環境 / 環境影響評価 / 持続可能性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、特に地下温度と地下水質(主要溶存イオン類、溶存無機・有機炭素、重金属類・微量元素など、計30数成分)に着目し、地中熱ヒートポンプ(GSHP)の冷暖房運転時における地下環境への長期的な影響を、実測データとそれに基づく数値解析により定量的に評価するとともに、温度変化が地下水質変化を引き起こすメカニズムを明らかにし、最小限の環境影響で持続的にシステムを長期運用するための方策を提案する。
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研究実績の概要 |
近年、新たな冷暖房システムである地中熱ヒートポンプ(GSHP)を含み、地下の熱利用が世界的にも注目されている。地下の熱利用にあたり、その持続的な利用と発展が強く望まれているが、原位置での長期モニタリングに基づく実測データに乏しく、その運用に伴う地下熱・地下水環境への影響は、十分に解明されていない。本研究では、特にGSHPの稼働が地下温度と地下水質に及ぼす影響を定量的に評価すると同時に、温度変化が地下水質変化を引き起こすメカニズムの解明、そして、最小限の環境影響で持続的にシステムを長期運用するための方策を検討する。 本年度も継続して、GSHPの稼働による実測値に基づく短期的な地下環境影響評価を進め、地下温度変化が地下水質変化を引き起こすメカニズムの解明に関連し、重金属類の土壌・堆積物等における吸着・脱離・溶出に関わる温度依存性評価に取り組んできた。具体的なGSHPの稼働条件として、昨年度までと同様に、クールビズ期間(5月~9月)は28℃設定の冷房運転、ウォームビズ期間(11月~3月)は20℃設定の暖房運転を行った。システムの熱源となる地中熱交換器から最も近い、水平距離で1 mの地点で、数ヶ月間の冷房運転ならびに暖房運転の結果、最大2~3℃程度の温度上昇と温度低下が確認された。この傾向は、ほぼ昨年度までの観測結果と同様であり、これら温度変化による地下水質への影響は、特にないと考えられる。 地下温度変化が地下水質変化を引き起こすメカニズムの解明に関連し、複数の土壌・堆積物等における重金属類の溶出特性に対して、温度依存性評価を進めた。結果の一例として、ヒ素については、温度上昇に伴う溶出量の増加傾向が確認され、それは最大でも2倍までの範囲内に収まった。本年度は、数値解析に基づく長期的な地下環境影響評価のため、数値解析の諸検討にも着手し始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、本年度、GSHPの稼働による実測値に基づく短期的な地下環境影響評価を進めるとともに、地下温度変化が地下水質変化を引き起こすメカニズム解明に関する室内試験の実施、さらには、数値解析に基づく長期的な地下環境影響評価の開始を予定していた。特に、数値解析については、その諸検討にも着手し始めたこともあり、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も継続して、GSHPの稼働による実測値に基づく短期的な地下環境影響評価を進めるとともに、地下温度変化が地下水質変化を引き起こすメカニズム解明に関する室内試験のまとめ作業に取り組み、これらの結果を踏まえ、数値解析に基づく長期的な地下環境影響評価について進める。
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