研究課題/領域番号 |
21K12275
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63040:環境影響評価関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部) |
研究代表者 |
奥村 智憲 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 主査 (20649636)
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研究分担者 |
小杉 緑子 京都大学, 農学研究科, 教授 (90293919)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 植物起源VOC / 温暖化 / 光化学オキシダント / オゾン / 温暖化影響 / 地球温暖化 / モノテルペン類 |
研究開始時の研究の概要 |
大気汚染物質(オゾンなど)の主な前駆物質である揮発性有機化合物(VOC)は、植物から人間活動由来の数倍以上の規模で放出されている。植物のVOC放出量は葉温の上昇とともに指数関数的に増加することが分かっており、温暖化によって植物のVOC放出量が増加し、大気汚染物質濃度が増加することが危惧されている。一方で、長期間に及ぶ高温下におかれた植物の応答(順化)を追求した研究は皆無である。本研究では日本の代表的な植物種のVOC放出量が温暖化による気温上昇によって、どのような影響を受けるのか、複数年の温暖化実験等により明らかにしてゆく。
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研究実績の概要 |
植物から大気へ放出される揮発性有機化合物(VOC)の全球の総量は、人為起源VOCの数倍から10倍の規模であると推定されており、大気中での反応を経て、エアロゾル(PM2.5など)やオゾン等の主な前駆物質となっている。また、その反応性の高さから、温室効果ガスであるメタンの寿命を決定する重要な因子でもある。今後の温暖化による気温上昇によって植物の活動は活発になり、植物起源VOC量が増加することが予想されているが、長期的な気温上昇に対する植物の応答(順化)を追求した研究は少ない。そこで、本研究では日本の代表的な森林構成樹種のVOC放出量が温暖化による長期的な気温上昇によってどのような影響を受けるのか、数年に及ぶ温暖化対照実験により定量的に明らかにしてゆくことを目的としている。R4年は以下の項目を実施した。 ①複数年(2年目)に及ぶ気温上昇が植物のVOC放出量に及ぼす影響を調査するため、R3年度に引き続き、周囲をビニールシートで囲ったオープントップチャンバ(OTC)を温暖化区と比較のため用意した対照区で生育した植物のVOC放出量を夏季に計測し、基礎放出速度の違いを比較した。一部の植物で病気により測定ができなかったが、測定した植物種については対照区よりも温暖化区で生育した植物のVOC基礎放出速度(葉温と光合成光量子束密度が一定下における放出速度)が低い傾向がみられた。 ②気温差の違いがコナラのVOC放出量に及ぼす影響を調査するため、OTCとは別に一定の気温制御が可能なLED光源を備えた人工気象器を用いた温暖化実験をコナラを用いた実験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一部の植物に病気が発生したため、予定通りの測定が行えなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
①長期間の気温上昇が植物のVOC放出量にどのような影響を及ぼすのかを明らかにするため、通年で3年間連続した対照実験(温暖化区と対照区において3種の苗木を生育)を継続し、それぞれの苗木のVOC基礎放出速度の違いを計測する。 ②OTCでは正確な気温制御が困難であるため、気温制御が可能な人工気象器を用いた温暖化実験により、気温差(平均気温の違い)が植物のVOC放出に及ぼす影響を計測する。 ③実験により得られた結果をもとに温暖化を考慮した植物VOC放出量の広域推定(関西)を行う。
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