研究課題/領域番号 |
21K12290
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
狩野 直樹 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00272857)
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研究分担者 |
後藤 淳 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (90370395)
原田 直樹 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50452066)
金 熙濬 新潟大学, 自然科学系, フェロー (50242045)
三嶋 謙二 筑波大学, 計算科学研究センター, 研究員 (60758415)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ゼオライト / アルギン酸-ゼオライト / セシウム吸着 / 土壌溶出液 / バイオマス材料 / フライアッシュ / 放射性セシウム |
研究開始時の研究の概要 |
福島第一原子力発電所事故以降,放射性セシウム(Cs)等により汚染した土壌の除染過程において生じた除染土壌の減容化が重要な課題となっている。減容化におけるプロセスとして,放射性Csを水溶液中に溶出させ固液分離をした後,適当な吸着剤を用いて吸着・除去して土壌から取り除く手法が考えられる。吸着剤として,吸着・除染効率に加え,吸着後の処理・廃棄に際しての環境への低負荷,廃材の有効利用,処分後の長期安定性の観点からフライアッシュ由来のゼオライトに着目した。本研究では,フライアッシュ由来のゼオライトを用いて安価で効率的で安全性の高いCs除去法を構築し,土壌の再利用および除染土壌の減容化を目指す。
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研究実績の概要 |
当該年度は,土壌からのセシウム (Cs)分離に関する基礎実験を継続するとともに,主として水溶液中からのセシウム吸着に関する最適条件の探索をゼオライトをベースに作成した吸着剤を用いて行った。 ゼオライトとアルギン酸ナトリウムを含んだ溶液を塩化カルシウム溶液に滴下し,ゲル状のアルギン酸-ゼオライトハイブリッド材料を作製した。ゼオライトおよびアルギン酸-ゼオライトはXRD, SEM,TG-DTA,XPSを行うことで特性評価を行った。その後,ゼオライト及びアルギン酸ゼオライトを用いてバッチ法によりCs吸着における最適条件を決定した。その際,振とう時間,溶液温度,溶液pHを変化させた。決定した最適条件をもとに吸着等温線をLangmuir model, Freundlich modelを用いて作成し,吸着モデルの検討を行った。また,吸着剤のCs選択性の知見を得るため他のアルカリ金属を共存させた吸着阻害実験を行った。なお,吸着実験後の溶液中のCs濃度は原子吸光分光光度計を用いて定量した。 ゼオライト,アルギン酸-ゼオライトのいずれの吸着剤においてもLangmuir型及びFreundlich型の吸着等温線に高い相関を示した。Langmuir型モデルに基づいて算出した最大吸着量は,ゼオライトが163.9mg/g,アルギン酸-ゼオライトが74.63mg/gであった。速度論解析の結果から,ゼオライトによるCsの吸着は,表面でCsと接着した後,元素が内部へ移動する吸着が支配的であると考えられる。アルギン酸-ゼオライトにおける吸着は,擬二次における内部拡散的吸着のみならず,吸着剤との接触時に構造中の空孔へ補完されることによって起こる吸着も行われていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で述べたように,水溶液中からのセシウム吸着に関する基礎データをある程度取ることができ,さらにそれと付随して他の金属に関する吸着の知見も得られ,複数の論文投稿や学会発表も行ったので,概ね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は最終年度なので,これまでの2年間で行った結果をふまえ,各プロセスにおける問題点などを整理して,詳細な実証試験を通して実用化の検討を行う予定である。
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