研究課題/領域番号 |
21K12291
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
池本 良子 金沢大学, 地球社会基盤学系, 研究協力員 (40159223)
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研究分担者 |
松浦 哲久 金沢大学, 地球社会基盤学系, 准教授 (90771585)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 排水処理 / アナモックス / 部分硝化 / 無曝気1槽型 |
研究開始時の研究の概要 |
Anammox細菌を用いた窒素除去法は,省エネルギーな排水処理方式として注目されている.申請者らは,排水を2流路で供給する新しい発想のリアクターを用いた窒素除去プロセスを提案した.本研究では,さらなる省エネルギー化を目指し,炭素繊維担体を用いた無曝気の2流路1槽型リアクターを考案し,排水処理のメインフローへの適用を目指して,実験的検討を行う.まず,無曝気リアクターによる部分硝化条件を検討した後,2流路の流量比,および処理水の循環の影響を検討し.最後に,有機物の流入の影響を明らかにする.各段階で,メタゲノム解析を適用することにより,窒素除去機構と微生物のすみ分け状況について,明らかにする.
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研究実績の概要 |
Anammox細菌を用いた窒素除去法は,省エネルギーな排水処理方式として注目されている.申請者らは,排水を2流路で供給することにより,槽内にAnammox細菌とアンモニア酸化細菌(AOB)の増殖に適した場所を提供するという新しい発想のリアクターを用いた窒素除去プロセスを提案した. 本研究では,さらなる省エネルギー化と安定的な処理法の確立を目指して,微生物付着性の高い炭素繊維担体を用いた無曝気2流路1槽型反応槽による処理法を開発すした.装置上部から懸垂した炭素繊維に排水を散水することにより,曝気を行わずに空気を供給してアンモニア酸化を行う.負荷量(濃度が一定の場合は排水の流量)と散水高さ(炭素繊維の懸垂部の長さ)により供給空気量を制御できることから,亜硝酸酸化を抑制して亜硝酸までの酸化を行うことが可能である(亜硝酸化が可能であることはすでに確認済み).空気供給量が不足する場合は,処理水の循環を行うこともできる.装置液相部に排水の一部を直接供給してanammox反応を促進する.各流路からの排水流量比を調整することにより除去率を向上させることが可能である.本研究では,提案した処理プロセスを確立するために,室内実験装置を用いて,最適運転条件を検討するとともに,微生物のすみ分けについて,明らかにするものである. 今年度は,昨年度から運転を行ってきた1槽型部分硝化/アナモックスリアクターについて,滞留時間の短縮と好気部比率の最適化を行うとともに,実験の各段階において,担体の様々な箇所に付着した生物膜からDNAを抽出し,マイセックを用いて16S rRNA遺伝子を標的とした菌叢解析を行い,微生物物のすみわけ状況を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は,上部から基質を散水する1流路型の方が下部から供給するよりも有利であることが明らかとなったことから,1流路型のリアクターの運転を継続し,滞留時間を1.5時間まで短縮することにより,高速化を目指した.その際,炭素繊維の気相部の比率がアンモニアの酸化に大きく影響することが示されたことから,段階的に気相部の比率を増加して,長期的な運転を行った.気相部の延長にしがたって,アンモニア酸化が増加したが,硝酸までの酸化が進行し,除去率の増加には至らなかった.炭素繊維の各部位に増殖した生物膜のDNAを抽出し,マイセックによる菌叢解析を行った結果,炭素繊維気相部にアンモニア酸化細菌が液相部にアナモックス細菌が増殖するというすみわけが継続していることが明らかになった.以上の結果より,当初の計画のリアクターの構築と最適条件の検討を行うことができたと判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
現在,菌叢解析結果の詳細解析を行っており,微生物に関する解析を継続する計画である
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