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微生物のヒ素メチル基転移酵素を内包した高メチル化活性カプセルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K12296
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
研究機関宮崎大学

研究代表者

宮武 宗利  宮崎大学, 工学部, 助教 (40315354)

研究分担者 塩盛 弘一郎  宮崎大学, 工学部, 教授 (80235506)
松根 英樹  宮崎大学, 工学部, 准教授 (10380586)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード無機ヒ素の無毒化 / 高メチル化活性カプセル / ヒ素メチル基転移酵素
研究開始時の研究の概要

毒性の高い無機ヒ素はメチル化しメチル化有機ヒ素に変換することで、無毒化できる。しかし、無機ヒ素のメチル化効率の低さとコストの高さから、実用化には至っていない。申請者は、微生物の機能を利用して無機ヒ素をメチル化することで、それらの問題が解決できると考えた。これまでに無機ヒ素をメチル化できるヒ素メチル化細菌のヒ素メチル基転移酵素(arsM)を直接で使うことで、メチル化有機ヒ素への変換効率の向上を図ってきた。
そこで本研究は、直接酵素を使う方法で問題であった酵素の耐久性を向上させるために、微生物のarsMを内包した高メチル化活性カプセルの開発を目的として実施するものである。

研究実績の概要

毒性の高い無機ヒ素はメチル化しメチル化有機ヒ素に変換することで無毒化できる。しかし、無機ヒ素のメチル化効率の低さとコストの高さから実用化には至っていない。申請者は微生物の機能を利用して無機ヒ素をメチル化することで、それらの問題が解決できると考えた。これまでに無機ヒ素をメチル化できるヒ素メチル化細菌のヒ素メチル基転移酵素(arsM)を直接で使うことで、メチル化有機ヒ素への変換効率の向上を図ってきたが、実用化に向けて酵素の耐久性が問題であった。そこで本研究は、酵素の耐久性を向上させるために、arsMを内包した高メチル化活性カプセルの開発を目的として実施するものである。
今回検討している酵素内包多孔質カプセルは、酵素溶液を内水相としてW/O/Wエマルションを調製し、有機相に含まれるモノマーを重合させてカプセル化するものである。酵素の失活を抑えるために、モノマーの重合ではLEDライトによる光重合で行う。さらに、カプセルからの酵素の漏れを少なくするために、カプセルの表面をナイロン膜で覆うように設計されている。これまでの研究では、添加したarsMの50%程度の活性しか示さなかった。そこで、arsMの代わりに市販の酵素を使ってカプセルの調製方法を検討することで、カプセルの調製方法の確立を目指して実験を実施した。
今回、光重合反応時の光強度を上げたり外水相に加える塩を変えたりすることで、カプセル1gあたりの活性を大幅に上昇させることができた。また、他の菌株と同様に令和4年度に宮崎県内の土壌から分離したヒ素メチル化細菌のarsM遺伝子を持つ組み換えプラスミドを作製し、大量発現が可能な宿主大腸菌BL21に組み換えた。得られた組み換え体大腸菌にてarsMの発現量を確認した結果、arsMを内包したカプセルの調製に十分使用可能であることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

arsMを内包した高メチル化活性カプセルを開発するために、本研究では酵素内包多孔質カプセルの調製方法を検討してきた。これまでの研究で、arsMを内包したカプセルを使って無機ヒ素をメチル化有機ヒ素に変換することができたが、添加したarsMの50%程度の活性しか示さなかった。そこで令和5年度は、昨年度に引続きarsMの代わりに市販のβ-グルコシダーゼを使ってカプセルの調製方法を検討することで、より高活性を有するカプセルの調製方法の確立を目指して実験を実施した。まず、令和4年度に実施できなかった有機相や外水相の界面活性剤の添加量や、重合時の撹拌速度について検討することで、多孔質カプセルの調製方法の最適化を行った。次にLEDライトの台数を増やすことで光重合反応時の光強度を上げた結果、カプセルの収量が増大しカプセル1gあたりの活性も高くなった。また、外水相に加える塩を炭酸ナトリウム水溶液からリン酸緩衝液に代え、その濃度を上げた結果、さらにカプセル 1gあたりの活性を大幅に上げることができ高活性化が図れた。
令和4年度に宮崎県内の土壌から分離したヒ素メチル化細菌について詳細に検討した結果、Streptmyces sp.ではなくCellulomonas sp.であることが判明した。他の菌株と同様に本菌株のarsM遺伝子を持つ組み換えプラスミドを作製し、大量発現が可能な宿主大腸菌BL21に組み換えた。得られた組み換え体大腸菌にてarsMの発現を行った結果、発現量も多くこれまでのarsMの酵素溶液より高活性の酵素溶液を調製することが可能になった。
しかし、本研究ではarsMを内包した高メチル化活性カプセルの開発を目的としており、arsM内包多孔質カプセルを調製しメチル化活性を検討することがまだできていない。また、酵素内包シリカカプセルについても検討することができていない。

今後の研究の推進方策

令和6年度は、令和5年度に実施できなかったナイロン膜の影響について検討することで、さらにカプセルの高活性化が図れると推測される。最終的にこれらの方法を用いて、arsMを内包したカプセルを調製しメチル化活性を測定する。さらに、カプセルの調製方法を修正することで、arsMを内包したカプセルのメチル化活性の向上を図っていく。
令和4年度に分離したCellulomonas sp. M27株は、これまでのヒ素メチル化細菌と同程度の割合で無機ヒ素をメチル化有機ヒ素に変換することができ、さらに変換されたメチル化有機ヒ素の中でトリメチル有機ヒ素化合物の割合が最も高いことが分かっている。そのarsM遺伝子を持つ組み換え体大腸菌から調製されたarsMの酵素溶液を使って、arsMを内包したカプセルを調製し実験に行う。
酵素内包シリカカプセルは、糖ナノ粒子を犠牲母材に用いることで酵素とシリカ膜の間に「空間」を設け、多種多様な酵素を全く失活させずにカプセル化する方法である。そこで令和6年度はarsM内包シリカカプセルを調製しメチル化活性を測定することで、酵素内包シリカカプセルがarsMに応用可能であるのかを評価する。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Study on Arsenic Methyltransferase of Cellulomonas sp. K31 Expressed in Recombinant E. coli2023

    • 著者名/発表者名
      Munetoshi MIYATAKE, Hideki MATSUNE, Koichiro SHIOMORI
    • 雑誌名

      Resources Processing

      巻: 69 ページ: 127-132

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Study on Arsenic Methylation Properties of Cellulomonas sp. K312022

    • 著者名/発表者名
      Munetoshi MIYATAKE, Jun HIROSE, Koichiro SHIOMORI, Haruhiko YOKOI
    • 雑誌名

      Resources Processing

      巻: 68 ページ: 117-123

    • NAID

      40022824086

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 酵素を内包した多孔質多孔質カプセルの高活性化に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      大倉 颯太,塩盛 弘一郎,宮武 宗利
    • 学会等名
      第60回化学関連支部合同九州大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 組換え体大腸菌からのヒ素メチル基転移酵素に関する研究2022

    • 著者名/発表者名
      大倉 颯太,塩盛 弘一郎,宮武 宗利
    • 学会等名
      第27回ヒ素シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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