研究課題/領域番号 |
21K12298
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
相澤 朋子 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (60398849)
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研究分担者 |
浦井 誠 東京農業大学, 生命科学部, 教授 (20398853)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アルミニウム / 金属耐性 / 酸性土壌 / 根圏微生物 / プロテオーム / リン酸可溶化 / 膜脂質 / アルミニウム耐性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、イネの生育促進能を持つ高濃度アルミニウム耐性菌として選抜したAL46株を用い、そのアルミニウム耐性・適応機構の解明を目的として、以下の実験を行う。 【実験 1】 アルミニウム存在下での不溶性リン酸塩可溶化に関わる分子の同定 【実験 2】 アルミニウム存在下で大きく変化する細胞膜脂肪酸の解析 【実験 3】 アルミニウムの輸送に関わるトランスポーターの存在の検討 これらを検証することにより、AL46株の微生物資材として活用を目指すだけではなく、将来的に様々な作物品種への遺伝子導入も含めた耐性付与や、食糧増産にも貢献できると考えている。
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研究実績の概要 |
酸性硫酸塩土壌とは、硫化鉄を多く含む海成粘土層が開墾などにより地表に露出し、これが酸化して生じる硫酸が原因となって土壌および周辺水域がpH 1~4という強酸性を呈する土壌である。これまでに申請者は、東南アジアの酸性硫酸塩土壌の湿地に適応する植物を探索し、その根圏からイネの生育促進能をもつ有用微生物群を得てきた。その中で、酸性条件下で植物生育促進能があり、かつ細菌の中で最も高濃度のアルミニウム耐性を示すAL46株を得た。本研究は、AL46株をモデルとして、新たなアルミニウム耐性・酸性土壌適応機構の一端を明らかにすることを目的とした。 AL46株を塩化アルミニウム濃度が0 mM, 20 mMの培地を用いて培養してショットガンプロテオーム解析を実施した。その結果、アルミニウム非存在下より4~16倍も検出量が増加したタンパク質が見いだされ、いくつかは細胞表層構造の構成成分の合成やリン・金属の輸送などに関係する機能を持つことが分かった。具体的には、0 mMに対して20 mMの試料中で4倍以上増加したタンパク質は32個あり、16倍以上増加したタンパク質は8個あった。その中には物質の輸送に関係するタンパク質が多くみられ、中でもリン酸の輸送に関係するタンパク質が複数見つかった。アルミニウム存在下では土壌中のリン酸が不溶化して根からの取り込みが困難となるため、リン酸輸送に関わるタンパク質が検出されたのは興味深い。また、高濃度(90 mM)のアルミニウム存在下でも「4倍以上増加」で3個、「16倍以上増加」で4個が20 mMの条件で検出されたタンパク質と共通して検出され、これらのタンパク質は特にアルミニウム耐性機構において重要な役割を果たすことが期待できた。
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