研究課題/領域番号 |
21K12308
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64030:環境材料およびリサイクル技術関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
野毛 宏文 岡山大学, 教育学域, 准教授 (80455146)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | パーム酸油 / 卑金属触媒 / 燃料改質 / 第2世代バイオディーゼル燃料 / 脱炭酸反応 / 水素化脱炭素反応 / 軽油代替燃料 / パーム酸油改質 / 固体触媒 / 水素化脱酸素反応 / 高圧反応 |
研究開始時の研究の概要 |
地球温暖化対策が緊急の課題である現在、化石燃料に代わる代替燃料の早期導入が望まれている。その一つである植物油由来のバイオディーゼル燃料(BDF)がすでに実用化されている。しかし、現在の製造方法では、使用できる植物油は、劣化の少ないのものに限られ、生成したBDFは低温流動性が低い等、課題が多い。そのため、本課題では劣化が進行した植物油からでも選択的かつ効率的に酸素を引き抜く水素化脱酸素反応を実現し、次世代型バイオ燃料(長鎖炭化水素)の効率的な生成を目指す。これにより、課題である低温流動性の改善とバイオ燃料に使用できる植物油の酸価の制限を解決する。
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研究実績の概要 |
令和5年度については,1.固定床流通反応装置と2.回分反応装置を用いて,それぞれの実験装置におけるパーム酸油の変換の限界値を調べた。限界値を調べる前に,これまでにシリカゲル表面に担持した代表的な卑金属触媒表面の活性点や吸着性能について、XPSや触媒評価装置によって,触媒表面の化学結合状態や吸着特性を分析した。その結果,MgOのような単一の卑金属触媒に比べると,Ni+Moのような複合卑金属触媒には,若干活性点が存在することが明らかになった。しかし,どちらかというと安定に近い状態であるため,触媒濃度や作成方法について,改善の余地があることが分かった。一方で,先行研究に見られる触媒の調整方法はincipient wetness含侵法が最も合理的で有力であるため,基本的には金属の濃度を調整しながら,活性点ならびに反応を変化させていくことになると考えられる。そこで,触媒濃度を変化させつつ,1.固定床流通反応装置と2.回分反応装置における最適化を行った。その結果,1の固定床流通反応装置では,長鎖炭化水素の質量回収割合は60%が最大で,Zr+Coの複合卑金属触媒によって酸価を99%程度下げることができ,昨年の最大低減率85%を上回った。ただし,今のところ、20ml程度の試料に対して,反応時間を3.5h以上確保する必要がある。一方,2.回分反応装置では,パーム酸油の水素化脱酸素反応を目標にし,触媒や反応温度,反応圧力を調整し続けてきたが,十分な水素化脱酸素反応は起きなかった。しかし,昨年の8hにおよぶ反応時間を大幅に削減し,3hでパーム酸油の酸価を72%程度減少させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた計画は少なくとも実行しており, 相当の結果を得ているため。
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今後の研究の推進方策 |
触媒や実験条件を変更することによって,実験結果が徐々に改善されているため,現在行っている研究の方針は比較的適切であると考えられる。全体的に投入燃料の割合に対して反応時間が長いため、実用化に際しては、もう少し反応時間の低減が望まれる。したがって,引き続き,回分反応装置と固定床流通反応装置による反応の特徴を十分に理解し,担持体,卑金属触媒の種類と濃度,実験条件を見極め,最適化を行う。その上で,まずは反応時間を短縮した上で,反応後の燃料の酸価を最小限に抑えることを目標に研究を進める。
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