研究課題/領域番号 |
21K12323
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山科 千里 筑波大学, 生命環境系, 特別研究員(RPD) (00637621)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | シロアリ塚 / 干ばつ / 生物多様性 / ナミビア / 生態系サービス / 南部アフリカ / サバンナ |
研究開始時の研究の概要 |
アフリカのサバンナにおいてシロアリ塚は生物多様性の維持に貢献し、今後の環境変動下では生態系の脆弱性を低下させる一因となることが指摘されている。しかし、シロアリ塚が生物多様性を維持する詳細なメカニズムは十分明らかになっていない。本研究は、上記のように、目的を3つ設定し、現地調査およびメタ解析を行う。これらの研究成果を現地に還元し、生物多様性保全や地域振興につなげる。
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研究実績の概要 |
2023年度は、これまでの研究を継続し、文献データのメタ解析に取り組んだ。この分析では、自身の成果を含め、既存の文献データのメタ解析を行い、シロアリ塚がアフリカという広いスケールで植生に与える影響を明らかにしている。解析の結果、大まかには”サバンナ”に分類される中でも比較的降水量の多い地域では、シロアリ塚は植物の多様性維持に貢献するが、例外として基盤となる地域の植生の多様性の高い地域では、その傾向が弱まることがわかってきた。現在は、このような地域差を生む要因について、主に環境要因に着目して分析を進めている。 また、リモートセンシングを用いた新たな分析手法に取り組み、シロアリ塚上に形成される多様な植物群落が干ばつ時にどの程度持続するのか、について衛星画像を用いて分析を試みている。アフリカ南部は2018~2019年に深刻な干ばつを経験したため、その時期を含め、現地データと合わせ、シロアリ塚がどの程度、干ばつ時の植生維持に貢献しているかを検証している。まだ結果はでていないが、今後分析を進め、複数地点の画像解析を合わせて行うことで、新たな知見が得られることが期待できる。 また、これまでの研究をまとめ、著書を刊行し(以下2-(1))、国内外の学会において研究成果を発表した(2-(2))。著書は、「主に高校生に向け、研究者を見せる」というコンセプトのもと、シリーズで刊行されている新・動物記の第8巻として、研究内容だけでなく、研究生活も含めて記した。この著書について、著者紹介として日本経済新聞の取材を受け、記事として掲載された(2-(4))。さらに、2023年12月には、イギリス生態学会において、ポスター発表を行い、活発な議論を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
採用年度に出産をしたため、海外における現地調査が実施できておらず、研究の進捗はやや遅れている。しかし、現地調査を除いて研究は順調に進んでいる。現地調査を行う代わりに上述のように、画像解析を用いたシロアリ塚植生の生物多様性への影響を検証している。画像解析とこれまで現地で得たデータを合わせることでより正確に干ばつ時等にシロアリ塚が実際に植物の避難地となっているかを検証できると考えられ、現在も解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、現在進めているデータ解析を進め、論文を執筆する。特に、アフリカ大陸という大きなスケールで、シロアリ塚が植生に与える影響について、地域差を生む環境要因に着目して分析を進める。 また、上述の画像解析を進め、干ばつ時にシロアリ塚がどの程度、植物バイオマスの維持に貢献しているかを検証していく。この結果についても学会発表や論文発表を通じて成果を公表していく予定である。
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