研究課題/領域番号 |
21K12325
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 薫 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任教授 (70183994)
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研究分担者 |
曽我 昌史 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (80773415)
深野 祐也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (70713535)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 環境保全型農業 / 生態系サービス / 害虫防除 / 有機質肥料 / 雑草管理 / 耕起 / 農薬 / 化学肥料 / 地力増進 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、農地生態系において基盤的な生態系サービスである「地力増進」と「害虫防除」に注目し、有機質資材の投入・不耕起・減除草剤の三つの農地管理方法を実施した大規模試験圃場において、多様な生物分類群(微生物、土壌動物、地表徘徊性・飛翔性昆虫類等)を対象に野外調査を行い、三種類の農地管理が農地生態系(生物群集)に及ぼす影響と二つの生態系サービス(地力増進サービスと害虫防除サービス)に及ぼす影響、およびそのメカニズムを包括的に明らかにし、環境保全型農業の普及・推進に役立てようとするものである。
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研究実績の概要 |
本研究では、環境保全型農業の一環として行われることが多い三つの農地管理方法(有機質資材の投入・不耕起・減除草剤)に着目し、これら三つの農地管理方法が「地力増進」および「害虫防除」サービスに与える影響とそのメカニズム(非生物的要因および生物群集の変化を介した影響)を明らかにすることを目的とした。2022年度は、1. 有機質資材の投入が土壌の物理化学的性質や土壌生物群集を介して、地力増進(リター分解能)や害虫防除に影響を与えるのかを解析するとともに、2. 耕起条件(深耕、普通耕、不耕起)と除草剤の有無が、生物群集(土壌動物や飛翔性・地表徘徊性節足動物)やそれらの生物間相互作用、リター分解、土壌の物理化学的性質、さらに、雑草・害虫防除に与える影響を調査した。 1. 有機質肥料が土壌の物理化学的性質および節足動物に与える影響 含水率、炭素含有率、窒素含有率、pH、土壌団粒率はほぼ成育期間を通じて有機質肥料区で有意に高くなった。pHは、有機質肥料区、無施肥区、化学肥料区の順に顕著に高くなり中性に近づいた。また、炭素含有率、pH、土壌含有率では化学肥料による負の効果が見られた。土壌動物の多くがpHに影響を受けた他、分類群によっては含水率や土壌有機物の影響を受けることがわかった。また、統計解析からいくつかの生物間の捕食・被捕食関係が示唆されるとともに、作物の植食性害虫による食害との関連性が示唆された。 2. 耕起条件と除草剤が地上生態系および土壌の物理化学的性質に及ぼす影響 耕起条件(深耕、普通耕、不耕起)や除草剤の有無は土壌の物理化学的性質(含水率、炭素・窒素含有率、pH)にはほとんど影響せず、リター分解速度にも影響しないことがわかった。雑草量は、除草剤の有無に大きく影響を受け、女装財務処理区ではトウモロコシの収量は大きく低下した。また、地上節足動物は雑草の増加とともに増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、地下生態系を対象としたテーマ1と2、地上生態系を対象としたテーマ3の研究を行う。テーマ1では、有機質肥料が土壌の物理化学的性質を介して土壌動物および地表徘徊性節足動物に影響を及ぼすことを明らかにした。テーマ2では、有機質肥料が中型・大型土壌動物を介してリター分解に正の効果を及ぼすことを明らかにした。テーマ3では耕起条件と除草剤が地表徘徊性節足動物を含めた地上節足動物群集に及ぼす影響を調査し、雑草量が節足動物に正の効果を持つことを明らかにした。このように、2022年度は、研究を計画通りに進め、必要なほぼ全てのデータを得ることができ、研究は大きく進展したと考えられる。ただし、テーマ3の土壌の物理化学的性質やリター分解に関する調査において、処理区に差が認められなかったことから、土壌微生物のメタゲノム解析は行っていない。以上より、全体としては、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今回、テーマ3の研究において、除草剤を処理しない試験区では収穫量が激減した。実際の農業現場に適用できる方法を模索することは非常に重要であると考えられるため、今後は、除草剤を最低限使用した上で、リビングマルチを利用した場合に、地上生態系、雑草防除サービス、および害虫防除サービスがどのような影響を受けるかを調査したいと考えている。その際、飛翔性節足動物の調査には背負い式掃除機による吸引法を用いると十分な捕獲数を得られないことが判明したため、ラインセンサス法を用いることにする。また、幼虫の形に成形したプラスチック粘土(ダミー芋虫)を用いた捕食圧調査では、ダミー芋虫を作物の葉や茎に設置するだけでなく、地表面にも設置してより詳細な害虫防除サービスの調査を行う予定である。
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