研究課題/領域番号 |
21K12328
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
笹井 和美 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (70211935)
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研究分担者 |
松林 誠 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (00321076)
石塚 譲 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 主任研究員 (00333435)
幸田 良介 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 主任研究員 (60625953)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 野生動物 / 外来種 / 在来種 / 寄生虫 / 感染 / 糞便 / 疫学調査 / 消化管寄生原虫 / 人獣共通感染症 |
研究開始時の研究の概要 |
捕獲の必要が無く非侵襲的に採材できる『微量糞便』を用いたDNAマーカーによる個体識別法、また接触マーカーとして消化管寄生原虫の検出手法を新たに構築する。個体ミクロの基盤情報から地域に定着した集団マクロの遺伝的特性を明らかにし、野生動物の感染症生態学を新たに提唱する。
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研究実績の概要 |
新興および再興感染症は野生動物由来であることが多い。しかし、これら野生動物が保有する各種病原体について、我々が把握しきれている微生物は限られる。我が国では在来および外来野生動物が激増しており、生態系への深刻な影響のみならず、多額の農作物被害が発生している。特に都市近郊に適応し繁殖する個体は、本来の野生型とは異なる生態を保持し、進化させていると考えられる。本研究では、これらの野生動物が保有する微生物および伝播状況を把握するため、個体を捕獲する必要が無く非侵襲的に採材できる糞便により、環境中で長期間生存可能である寄生虫を接触マーカーとして、ヒトを含む動物の感染症伝播のリスクアセスメントをマクロ的に実施する。本年度は、四国地方で捕獲された鳥類101検体を調査し、解析した。その結果、原虫類は20.8%,線虫類は8.9%の陽性率であった。また、西日本の都市近郊の野生動物、約150検体(計14目の動物)を採取し、検査に供した。その結果、線虫類は52.7%,原虫類は39.2%で陽性であり、より高頻度に寄生虫が検出された。この中で、ヌートリアからはヌートリア糞線虫と考えられる虫卵が高率に検出された。種を同定するために既報のプライマーによる遺伝子解析を試みたが、増副産物は得られなかった。そこで、糞便由来の虫卵検体でも種を同定できる新たなプライマーを設計し、各種条件検討を行った。その結果、少量の虫卵であっても高感度に増副産物を得られるPCRの系を構築できた。海外ではヌートリア糞線虫による人への感染も報告されており、今後、この鑑別法を用いて非侵襲性に採取できる糞便検体で調査を実施できると期待される。次年度も引き続き、野生個体の分布状況および人獣共通寄生性の病原体を含め直接および間接的な糞口感染の実態を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
四国、中国、関西エリアで300検体程の糞便を採取し、検査を完了した。外来野生動物に高率に感染している寄生虫について、微量糞便からの検査および種および遺伝子型を鑑別できる手法を構築することができた。
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今後の研究の推進方策 |
関西圏での寄生虫調査を継続すると共に、引き続き、微量糞便による個体識別を試みる。その感染状況を個体数またはハプロタイプ別の分布状況と関連付け考察する。また、より詳細な型別を行うべく、新たな遺伝子解析手法の構築を試みる。これまでの調査で、人獣共通感染性寄生虫が検出されているため、遺伝子解析により病原性等を評価する。
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