研究課題/領域番号 |
21K12346
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
阿部 直也 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (30323819)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 都市住民 / 不安 / 安全 / レジリエント / 持続可能な開発目標 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、日本の都市では集中豪雨などによる自然災害の頻発、少子高齢化の急速な進行や高齢者の孤立化、さらにはコロナウィルス感染拡大による社会経済影響の拡大など、都市住民が様々な不安に直面する機会が増えている。そこで本研究は、SDGsが掲げる「包摂的で安全かつレジリエントで持続可能な都市」を実現するために、都市住民にとって不可欠である水、エネルギー、食料、住居、雇用(収入)、地域とのつながりに着目し、都市住民の不安状況を把握し、その不安要因の構造を明らかにするとともに、都市の特性と住民の不安要因の関係性を包括的に分析・評価し、安全かつレジリエントな都市の実現に向けた政策的提案を行う。
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研究実績の概要 |
今年度は、国立研究開発法人・防災科学技術研究所が取りまとめ公表している防災台風自然災害データベースに着目し、1979年から2010年までの過去約30年間の都道府県別の自然災害状況を把握し、 安全かつレジリエントな都市の実現を検討する上で着目すべき都道府県を絞り込んだ。その結果、近年、台風による多くの被害が発生している千葉県に焦点を当て(令和元年台風により、洪水・停電・竜巻被害が発生)、比較検討のために、千葉県の近隣である東京都にも着目した。その上で、都市住民の不安に対して影響力を持つと想定される住民組織である自治会の活動や役割を把握するため、自治会役員に対するインタビュー調査を行った(計10回)。
インタビュー調査を通じて、災害への備えとして、自治会が対処できる内的課題と対処が困難な外的課題を把握した。その結果、内的課題として、避難所の運営・管理、住民間の連携・協力体制の支援・促進、民生委員と自治会との連携、行政と自治会との連携などが確認された。外的課題として、少子高齢化、個人情報保護に伴う情報共有の困難化、新型コロナウイルス感染拡大による影響、高層マンション・単身アパートの増加に伴う昼間人口構成の変化、外国人居住者の増加に伴うコミュニケーションの課題などが確認された。
近年、住民の自治会への加入率が低下し、自治会の活動運営を支える役員の高齢化や後継者不足が大きな課題となってきている中、災害への備えを強化している自治体側より多くの役割と期待を寄せているため、自治会と自治体との間に状況認識のギャップが存在する可能性が確認された。また、自治会役員の回答より、住民による自治会への加入率の高低は、住民間のつながりの強さや自然災害に対する備えの不安の有無に影響を及ぼしている可能性が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アンケート調査に先立ち実施することとした、ヒアリング調査に関して、その対象者となった自治会役員の多くは高齢者であったため、直接の聞き取り調査が望ましいと判断した。同調査は、新型コロナウィルスに対する措置を十分にした上で実施したが、その適切な実施タイミングを見極め、また調査の対象者および日時を手配するために時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は当初研究計画に基づく最終年度であり、都市住民画家抱える不安構造を明らかにするアンケート調査を早期に実施する。また、同調査に基づき、都市住民の不安構造と明らかにし、その状態の計測枠組みを提案する。
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