研究課題/領域番号 |
21K12366
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
木島 真志 琉球大学, 農学部, 教授 (10466542)
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研究分担者 |
吉本 敦 統計数理研究所, モデリング研究系, 教授 (10264350)
加茂 憲一 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (10404740)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 森林管理最適化モデル / 森林生態系機能 / 多階層ネットワーク / 空間構造 / 最適化モデル |
研究開始時の研究の概要 |
森林は木材生産以外にも土砂流出・崩壊防止, 野生動植物の生息地,炭素吸収源など,我々の生活基盤を支える様々な機能を有する. “程よいバランス”で複数機能が発揮できる森林利用の在り方を検討するためには, これら機能間の客観的なトレードオフ評価が欠かせない. しかし, 森林利用と機能の相互関係が多次元に及ぶ上に, 機能によって“適した”森林状態が異なるため, 多機能間のトレードオフを評価することは難しく, 現状では, このような複雑なトレードオフを適切に評価する手法が存在しない. 本研究では森林の多機能間の客観的なトレードオフ評価を可能にする多階層ネットワーク・空間構造最適化モデルを開発する.
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研究実績の概要 |
本研究では、森林の多機能を効果的に発揮するためには、それぞれ異なった森林植生の空間状態が必要になる(すなわち、異なった森林利用の空間配置パターンが必要になる)ことに着目し、多機能間トレードオフの定量化を念頭に多階層ネットワーク・空間構造最適化モデルを開発することを研究目的とする。 前年度に引き続き、多階層ネットワーク・空間構造最適化手法の開発に向けて数理最適化分野を中心に幅広く既往研究を調査・整理した。また、データセットの生成方法についても、昨年に引き続き、ドローンや3Dモデリングといった技術を駆使した効率的なデータ収集方法の開発を検討した。また、動物の生息地環境と獣害被害リスクの関係について分析すべく、地理情報システム(GIS)によるデータベースを整備し、ロジスティック回帰分析を行った。木材生産機能については、昨年度取り組んだ、林分レベルの間伐・主伐から得られる収益の評価方法に対して、他の土地利用による経済評価との比較をシミュレーションした。加えて、既存のデータを用いて、樹高成長の予測モデル、材積量評価モデル、立木本数の変化(枯木本数)の予測モデルを組み合わせた林分成長モデルを構築し、間伐・主伐から得られる収益を評価指標とした動的計画法ネットワークを組み立て、動的最適化モデルを構築した。ここで検討した方法は、今後、他機能の評価モデルを制約式として組み込むことにより、木材生産機能と他機能とのトレードオフ分析を可能にするであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、 昨年度に引き続き、多階層ネットワーク・空間構造最適化手法の開発に関して、数理最適化分野を中心に幅広く既往研究を調査・整理できた。データセットの生成・収集方法については、ドローンと3Dモデリング技術を駆使した効率的なデータ収集方法の開発を行い、その成果をまとめ論文に発表した。昨年度から取り組んだ、林分レベルの木材生産機能に対する経済評価の研究については、他の土地利用による経済評価と比較する研究に発展させ、論文に発表した。さらに、林分レベルの間伐・主伐の最適化について、動的計画法ネットワークを組み立て、そのネットワークをCプログラミング言語により実装し、動的最適化モデルを構築した。この研究については、国際学会で発表した。現在、ここで構築した動的最適化モデルに対して、他機能の評価モデルを制約式として導入すべくCプログラミング言語により実装中である。さらに、動物の生息地環境と獣害被害リスクの関係についての分析に向けて、地理情報システムによるデータベースを整備し、ロジスティック回帰分析を行い、被害リスクの要因を解析した。これについては、一部の研究成果について、論文にまとめ、現在、学術誌に投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、まず、昨年度取り組んだ、間伐・主伐の動的最適化モデルについて、他機能評価モデルの制約式導入のプログラミング言語による実装を完了し、数値実験を行い、多機能間トレードオフ分析を試みる。そして、このモデリング手法と分析結果を論文にまとめて発表する予定である。また、動物の生息地環境と獣害被害リスクの関係についての分析に向けて、昨年度から整備を進めた地理情報システムによるデータベースについても、追加的なデータ収集と、それに伴うデータベースのアップデート・拡張を行う。そして、獣害被害リスクを軽減するための空間構造や、生息地環境について検討する。さらに、これら各機能については、各機能が効果的に発揮できるネットワーク・空間構造に関する文献等をもとに、プログラム開発言語によるシミュレーションモデルの実装を試みる。最適化モデルについては、収集・整理した既往研究をもとに、数理最適化を専門とする分担者の協力を得ながらモデル構築を試みる。分担者との研究打ち合わせについては、対面での研究打ち合わせを積極的に行うとともに、本年度も、オンラインミーティングと対面ミーティングのハイブリッド形式も積極的に導入していく。
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