研究課題/領域番号 |
21K12369
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
阪本 将英 専修大学, 商学部, 教授 (10367542)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 石綿健康被害救済制度 / 公害健康被害補償制度 / 石綿 / アスベスト / 持続可能な社会 / 環境政策 / 公害研究 / 石綿健康被害救済法 / 包括的被害者 / 包括的石綿健康被害補償制度 / 集団的責任論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,アスベスト被害者に対して、主に医療費の支給を定めた石綿健康被害救済制度の構造的問題を明らかにし,その改正のための根拠とその方向性について,今まで検討されていなかった多角的な視点から問題提起するものである。 本制度は,国や企業の民事的責任を問うことなしに制度設計されているため,民事的責任を踏まえた,その他の被害補償制度に比べて給付水準は低く,被害者の生活を保障するための条件を満たしていない。 本研究では,主に,①本制度の構造的問題と制度見直しの根拠を明らかにしたうえで,制度転換の到達点を示すこと,②制度転換の到達点に向けた各々の段階で生じる課題とその克服すべき方法論について考察する。
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研究実績の概要 |
本研究の主な目的は、①石綿健康被害救済制度(以下、救済制度)の改正に向けた全体像を示したうえで,制度転換における各々の段階で生じる課題と克服すべき点について提示すること,②アスベスト被害者の立場から,新たな補償制度の意義とその必要性を被害者および被害者団体からの聞き取り調査を踏まえたうえで検討することにある。 上記①については、阪本(2022)『石綿健康被害救済制度の改正に向けた制度設計に関する予備的考察』において示した。上記②については、被害者および被害者家族,さらに,被害者家族を支える家族の会へのインタビューを中心に,被害者の立場から考える制度設計について考察するための準備を行っている。 ただし、上記②については、新たな補償制度を提言する以前の段階として、現状の救済制度の枠組みでさえ、認定されていない石綿健康被害者が数多く存在することから、昨年度は、こうした被害者が現行の制度的枠組みで除外されてしまうのかという問題点について、医学的知見ならびに社会・経済学的知見から、いくつかの研究会で発表した。これにくわえて、家族会へのインタビューを実施するなかで、救済制度そのものもの課題、救済制度の転換に向けた課題を提示し、さらに、石綿健康被害者の声を記録をしていく予定である。その延長上として、新たな補償制度への転換に向けた方向性を示すこととする。 これらの研究成果については,次年度、著書や論文等で公開していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記②に取り組むために,アスベスト関連工場周辺地域を対象に被害者本人からその家族や遺族へと波及する被害の実態解明に向けたインタビュー調査を行う予定であった。しかしながら,新型コロナウィルスの影響に鑑みて,関連主体に対して部分的な調査しかできず,いくつかの計画を変更した。 さらに、新たな補償制度の転換の前段階となる救済制度において、被害者をめぐる状況が多面的であることから、その問題を解決していくための論を構築していくための時間が必要となったことなどによる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,第一に,救済制度の枠組みから排除されている被害者に着目し,救済制度をめぐる顕在化していない諸問題について問題提起する。第二に,救済制度の本制度を救済制度から,アスベスト関連工場周辺地域を対象に,被害者家族や被害者団体への調査をもとに,積み残された被害者の声を記録しつつ,新たな補償制度の構築に向けた論点を整理する。 そのうえで,これらの研究成果を論文や著書等で公開していく。
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