研究課題/領域番号 |
21K12370
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
佐々木 創 中央大学, 経済学部, 教授 (40634100)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Waste to Energy: WtE / 都市ごみ / 発電事業 / 循環経済 / エネルギー回収 / Municipal Solid Waste / Waste to Energy / MBT(機械的・生物的処理) / Refuse Derived Fuel / 初期投資額 / 循環産業 / 海外展開 / 持続可能な開発目標 / 情報公開 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は監視体制や情報公開において他のアジア諸国より先行するタイを対象にMSW処理施設の適正化策を導出することを目的に実施する。7機関のデータベースを複数年組み合わせる独創的な分析手法で、1)適正・不適正処理施設の経年変化を把握し、2)MSW施設計画の失敗事例と、3) MSW施設運営の成功事例を分析し、これらの結果を説明変数に用いて重回帰分析を行い、4)MSW施設の適正化策を導出する。MSW施設の中で今後導入が進む廃棄物からのエネルギー回収(Waste to Energy: WtE)施設についても成功・失敗事例を多く有するタイを調査・分析とすることは他のアジア諸国においても有益となる。
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研究実績の概要 |
本年度はタイ・エネルギー規制委員会(Energy Regulatory Commission: ERC)に着目して研究を遂行した。この理由として、1)ERCはエネルギー事業に係る規制を司る立法機関であり、発電事業ライセンスを公布していること、2)ERC発電事業ライセンスのデータベース[ ]には、WtE施設の設備納入事業者(ボイラー、タービン、発電機)、建設開始日、稼働日、計画稼働日などが公開されていること、さらに、3)同手続きはMSW処理施設に関連する10の承認プロセスにおいて終盤に必要とされる手続きとなることが挙げられる。 ERCの発電事業ライセンスのデータベースから、WtE施設のライセンス事業者リスト(計19事業)について、建設開始日、稼働日、計画稼働日、設備納入メーカー(ボイラー、タービン、発電機)などを分析した。全体の37%が2022年6月時点で商業運転(Commercial Operation Date: COD)できてない。操業中の事業から、建設開始日とCOD、及び電力売買契約に基づく商業的にシステムに電力を供給する期日(Scheduled Commercial Operation Date: SCOD)を分析すると、建設開始からCODまでの平均日数は883日であり、SCODと比較して平均36日早く操業を開始できている。 タイのWtE施設における設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設・試運転(Construction)のEPCへの参入状況をボイラー、タービン、発電機について設備納入メーカーの本社所在地を分析すると、中国がボイラー60%、タービンは56%、発電機は28%といずれも最もシェアが高く、日本はボイラー10%、タービンは22%、発電機は6%となり、日本メーカーの劣勢の状況が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タイの廃棄物発電に関係する主要な省庁(首相府公聴会センター(PCC)、内務省自治体振興局(DLA)、エネルギー省代替エネルギー開発・効率局(DEDE)、工業省・工場局(DIW)、エネルギー規制委員会(ERC)、天然資源環境省・公害管理局(PCD)、商務省事業開発局(DBD))の公開情報を入手しデータベース化が完了している。これらの成果を国際会議での招へい報告だけでなく、日本メーカーとの勉強会などで共有し、産業界からの現実的な意見を取り入れることが可能となり、計画よりも進展している。 他方で、現地でのヒアリング調査においては、商業運転開始後の施設であっても初期不良が発生していることが多いため、ヒアリングを辞退されることが発生しており、仮説の検証にやや遅れが生じている。 以上の2点からおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
各種のデータベースを統合し、住民公聴会、環境影響評価、売買電契約といった建設前のどの段階で計画が頓挫したのか、施設が完成し運営後に不適正処理施設と見なされたのか、という失敗事例を抽出する。さらに、民間適正処理施設の財務データを掘り下げて経営状況を把握し成功事例を分析する。 ここから導出された仮説をヒアリング調査で補完する。また、上記の分析結果を説明変数に用いて重回帰分析を行い、都市廃棄物処理施設の適正化策を導出し、その結果を3RINCS等の国際学会で発表後、国際学会誌へ投稿する予定である。
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