研究課題/領域番号 |
21K12374
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
小出 瑠 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環領域, 研究員 (60781987)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | サーキュラーエコノミー / 耐久消費財 / 消費者行動 / ライフサイクルアセスメント / エージェントベースシミュレーション / 循環経済 / 製品サービスシステム / 社会シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
循環経済への転換に向けて、レンタル、シェアリング、サブスクなどの「製品サービスシステム」(PSS)が注目されている。本研究では、新たな製品利用・資源循環形態の普及へ向け、消費者行動の転換に着目した政策介入の効果を事前評価する手法を開発する。「ライフサイクルアセスメント」(LCA)と「エージェントベースモデル」(ABM)による社会シミュレーションを組み合わせることで、行動変容、製品の供給形態、環境負荷を一貫して評価できる手法とする。耐久消費財に関するケーススタディを通じ、実証データに基づく行動シミュレーションを行い、持続可能な製品サービスシステム普及のための条件と効果的な施策を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、循環経済における耐久消費財の製品サービスシステム普及に関する消費者行動と環境影響に着目したシミュレーションモデルを構築することを目的としている。初年度にあたる2021年度は、系統的文献レビューを通したモデル要素の特定および製品循環と消費者行動のシミュレーションモデル構築を行った。 系統的文献レビューでは、様々な循環経済施策(リファービッシュ、シェアリング、耐久性向上など)の導入による耐久消費財のライフサイクル影響を定量評価した約100文献・1500シナリオを対象とする既存研究の系統的レビュー(メタ分析)を行った。施策導入による温室効果ガス排出の削減効果に着目し、効果的な施策の組み合わせ、消費者行動や輸送頻度の変化などの結果的に排出量が増加してしまうバックファイア効果が生じる条件を特定した。また、既存文献に用いられているモデル化・評価手法を網羅的に検証することで、消費者行動や使用段階をより精緻に表現できるダイナミックなモデル化手法が必要であることを明らかにし、シミュレーションモデルに反映することが望ましい要素を特定した。 このような分析結果を踏まえ、多様な循環経済施策の導入による耐久消費財利用の消費者行動と製品循環の変化をとらえるエージェントベースシミュレーションモデルを構築した。循環経済に関する消費者行動として、製品購入、使用期間、修理実施、退蔵、排出行動を考慮し、修理、リユース、リファービッシュ、レンタル、シェアリングなどの複数の施策が混在する場合の効果をダイナミックに定量化できるモデルを作成し、仮想データによりシミュレーションモデルが動作することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の根幹をなすシミュレーションモデルの構築が順調に推移しているため。また、系統的文献レビューを通して循環経済の重要施策の特定が完了しており、これらを踏まえたシミュレーションモデル研究の展開が今後可能な素地が初年度を通して整ったため。 なお、当初計画では製品利用の現状フローを把握するアンケート調査とシナリオLCAの実施を先行して実施することとしていたが、前者は消費者行動に関するアンケート調査と併せて実施し、後者は系統的文献レビューを通してその目的を達成するとともに、シミュレーションモデルの構築を先行して実施することとした。これらはより効果的な研究遂行のための対応であり、研究課題全体を通した進捗上の問題は生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は消費者行動と製品循環に関するエージェントベースシミュレーションモデルの拡張、およびこれを用いた感度分析やキャリブレーションなどの計算機実験を実施する。また、消費者行動に関する実証データ取得のためのアンケート調査の設計と実施を行うことで、消費者行動の規定要因の分析を行う。これらの研究遂行を通して、本課題が最終的に目指している消費者行動の実証データに基づくエージェントベースシミュレーションを通した循環経済普及の政策シナリオ評価を行うための準備を進める。
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