研究課題/領域番号 |
21K12380
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
飯塚 明子 宇都宮大学, 留学生・国際交流センター, 准教授 (60806925)
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研究分担者 |
坂本 文子 福岡工業大学, 教養力育成センター, 助教 (40788478)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 外国人 / 留学生 / 地域防災 / 多文化共生 / 防災まちあるき / 多言語ラジオ放送 / 防災意識 / ラジオの多言語放送 / 災害 / 技能実習生 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、1.災害対応や備えに関する外国人の現状や課題を明らかにし、2.外国人が主体的に関わることができる地域防災システムを検討し、3.外国人が地域防災の担い手となる新たなモデルを実践することである。そのために、栃木県を主要なフィールドとして、1年目は栃木県内に住んでいる外国人や関係機関を対象に、防災意識や災害対応について聞き取り調査とアンケート調査を行い、2年目は国内外の被災地の先進事例を調査し、3年目は2年間の研究結果を踏まえて、外国人が日本人を含む地域防災の担い手となる実践活動を行う。
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研究実績の概要 |
外国人と地域防災に関する研究業績として、2023年度に1本の論文と口頭発表、1回のポスター発表を行った。発表内容は、2021年の調査をもとに2022年に行った防災まちあるきの実践活動を地域安全学会で報告したもので、ポスター発表では企業や自治体の関係者に活動内容を広く公開した。また、宇都宮市のまちづくりシンポジウム「誰もが安心して地域で暮らせるように防災目線で多文化コミュニティを考える」の基調講演で調査結果を報告し、参加した多文化共生や防災の関係者を対象に、外国人が避難所にいる設定のワークショップを行った。シンポジウムの内容は地元の新聞社にも取り上げられた。 実践活動については、前述の研究結果を踏まえて、防災意識の向上と地域交流を目的に2023年10月21日に防災まちあるきを実施し、(留)学生、外国人を含む大学近隣の地域住民の17か国61人が参加した。このまちあるきを通して、住んでいる地域のリスクや災害時に役立つ場所について参加者が学び意見交換を行い、まちあるき後に行ったアンケート結果によると、満足度も非常に高かった。防災まちあるきの様子も地元の新聞社に後日取り上げられた。12月8日に防災まちあるき研究会として、防災まちあるきの結果を先進事例である立命館アジア太平洋大学(APU)の関係者と共有した。 さらに、2023年8月26日に宇都宮市コミュニティFMを中心にした災害時の連携ついて議論する場を設け、災害時における情報発信の体制や課題について、コミュニティFMで外国人住民を含む防災を視野に番組づくりを行う担当者らが集い議論した。2024年3月11日にはコミュニティFMの「ミヤラジ」と協力し、特別番組「外国人住民と災害に備えるラジオ」の番組企画・制作・放送を行い、多言語放送のパーソナリティも務めるネパール、中国人住民に加えベトナム人住民と共に災害時の対応について意識の向上を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定では、実践活動を3年目(2023年度)に行う予定だったが、1年目(2021年度)の調査結果をもとに、2、3年目において、防災まちあるきとFMラジオの多言語放送の実践活動をすでに始めたことから、当初の計画以上に進展しているとした。地域の防災まちあるきを通した防災意識の向上と地域交流、及びFMラジオを通した情報提供は、地元の新聞社にも取り上げられ、定期的な活動として、2024年度以降も引き続き行う予定であることから、本研究の目的である「新たな実践モデルの構築」に向けて道筋がついたと言える。また、地域の定期的な避難訓練においても、外国人や多様な住民に配慮した炊き出し訓練を行うようになり、地域との交流が薄かった(留)学生が地域の避難訓練に参加するようになった。 研究業績については、1年目のアンケート調査の結果を、2、3年目(2022、2023年度)はインパクトファクターを有する査読付論文や研究発表を通して日本語、及び英語で公開することができた。2、3年目の研究業績の蓄積と並行して、東北、関東、関西、九州地方において、外国人と地域防災に関する先進事例の新たな聞き取り調査を行い、今後の研究業績や実践活動につながる調査を行っていることから、当初の計画以上に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度実施した防災まちあるきの活動をまとめたポスターを、研究者や自治体、企業関係者等が参加するコラボレーションフェア(9月20日)で発表する予定である。また地域安全学会(11月)で外国人と地域防災に関する研究発表を行う。 今年度実施した防災まちあるきをきっかけに、地区の避難訓練のお誘いを受けるようになった。このことから、次年度は5月19日の避難訓練で、地域の方と協力して多様な住民を対象としたベジタリアン、アレルギー、ハラル対応の炊き出し訓練を実施する。また次年度は3年目の防災まちあるきを10月頃に実施する予定である。 立命館アジア太平洋大学(APU)と別府市、NPOが実施する外国人と地域住民との防災まちあるき等、先進事例を視察したり、防災まちあるき等の実践活動を共有する等、情報交換やネットワークの構築を行う。 また、今年度宇都宮市コミュニティFMを中心にした災害時の連携ついて議論する場を設けたので、次年度はコミュニティFMにおける平常時の情報提供と災害時の対応についてさらに具体的に話し合う予定である。
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