研究課題/領域番号 |
21K12386
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大野 朋子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (10420746)
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研究分担者 |
田畑 智博 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (40402482)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 伝統的住居 / 家族構成 / 都心部 / 供花 / 植栽 / ライフスタイル / 土地利用 / 祭祀植物 / 色 / 栽培 / 生活様式 / 方位 / 植物選択 / マリーゴールド / ヒンドゥ教 / アーカイブ写真 / 宗教行事 / 景観資源 |
研究開始時の研究の概要 |
文化の基層となる宗教において共通する宗教基盤(ヒンドゥー教)をもつネパールとインドネシアバリ島を対象地とし、民族植物学および景観生態学的視点からアーカイブ写真の読み取り、現地調査、文献調査によって宗教行事に用いられる祭祀植物の利用実態を経年的に捉える。また、社会科学的視点より現地聞き取り調査、文献調査を行い、住民のライフスタイルの変化を明らかにする。祭祀植物から捉えた人文景観形成の要素とライフスタイルの変化時期やその程度などを総合して検証し、持続的人文景観要素の解明、現代的地域性の担保と展開について論考する。
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研究実績の概要 |
これまでの調査から、バリ島では日常的に使用される供花の種類は、昔とは変化していることが分かった。この実態について詳細な調査を実施するため、2023年度は、バリ島へ2回現地調査を行った。 その結果、現在のバリ島、特に都心部で日常的に多用される供花は、チャナンと呼ばれるお供え物に入れるホウセンカとマリーゴールドの花びらであった。しかし、都心の一般的な民家の庭にはプルメリアやブーゲンビリアといった花木はあるが、ホウセンカ、マリーゴールドの栽培はほとんど無かった。これまで、チャナンは自作が通常で、その材料も庭で栽培したものを使用するのが一般的であったというが、現在では完成品を購入するか、一部を自作し、それ以外の花などは購入するスタイルが一般的である。バリヒンドゥでは非常に多くのチャナンが必要で、その作成には多大な時間と労力を要する。近代化に伴う、女性の社会進出や家族構成の変化がチャナン制作の省力化を生じさせ、この変化を招いたと思われる。一方、都心部を離れた郊外では、広い庭を持つ伝統的な民家が多く、アカネ科のMussaenda philippicaと多様な花木の他、チャナンに使用されるホウセンカ、マリーゴールドなどの栽培や野生化も見られた。聞き取りから、チャナンの花は家のものを使用し、不足は購入しているという。さらに以前のチャナンは、現在のホウセンカを中心としたものではなく、かつてはどこの家にもあったM. philippicaの赤と白の苞葉を使っていたことが分かった。伝統的な住居スタイルを残す郊外地では、ホウセンカとともにM. philippicaを入れたチャナンの存在も確認できた。 今後は、この事実の精度向上のため、M. philippicaの利用に関するさらなる聞き取りと、定量的に植栽の有無を確認、チャナンの古い写真画像を調査することが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
祭祀植物の利用やその種の選択を精度よく把握、情報の一般化を行うためには、広域的な現地調査によって過去と現在の情報を多く収集する必要がある。本研究課題ではこれまで3回のバリ島調査をおこなったが、2022年まで続いた新型コロナウイルス感染防止対策による海外渡航制限の影響を受けたため、渡航回数が足らず、バリ島北西部、北東部の情報が未だ十分ではない。また、聞き取り情報と資料調査との整合を取るためにはさらなる情報収取が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、10月にバリ島の現地調査を予定しており、バリ島内でも地域的な情報が不十分であった北西部、北東部を中心に聞き取り調査および、M. philippicaの植栽実態について数量的把握を行いたい。また、利用する植物の変化に伴う土地利用の変遷についても実証するため、GISを用いた現地調査を実施する予定である。さらに同じ宗教基盤を有するネパールの供花の種の変遷について、情報が乏しい冬期(12月~2月)に現地調査を実施予定である。 一部の成果は、10月の現地調査実施前にとりまとめ、論文投稿する予定である。
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