研究課題/領域番号 |
21K12401
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田原 史起 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20308563)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 県域社会 / 県城 / 中国 / 都市=農村関係 / 歴史社会学 / 文化心理 / 人的環流 / 都市=農村関係 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、中国社会の理解にとり核心的な意味を持つ都市=農村関係を対象とし、歴史社会学の観点から新しい光を当て、従来の中国認識をいま一歩、深化させることである。そのために、①中国社会の細胞であるともいえる「県域社会」と細胞核に相当する小都市である「県城」にフォーカスし、県城の形成や社会構成をその後背地である農村との関係において歴史的展開から理解する。同時に、②2012年前後より展開している中国政府の「新型都市化政策」の全国的な展開の様相を「県域の都市化」の視点から位置づけ、さらに複数の県の現地調査から把握し、比較分析を展開する。
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研究実績の概要 |
前年までの基礎の上に、2023~2024年度の二年間は現地調査に軸足を移す予定であった。しかし、習近平体制のもとで、外国人の中国国内での社会調査が事実上、不可能である状況は変わらないばかりか、ますます厳しさを増してきている。そのため、現時点での「県域の都市化」の進展ぶりを実地に観察し、県内農民が如何にして県城市民と融合しつつあるかについて複数の県について実態を把握するという作業は、以下の間接的な手法を用いて実施された。 第一に、政府の農業農村部機関紙である『農民日報』紙を用いた県域社会データの収集と分析である。注意深く探せば、公開情報である『農民日報』紙上にも、県城の現在を探ることのできる貴重なデータが多く散らばっている。 第二に、2020年11月には中国の第七次人口センサスが実施されており、その結果が『中国人口普査分県資料2020』などの形で公開された。これにより、各県ごとの都市化の進展を統計的に把握する作業も行った。 第三に、研究協力者の中国人大学院生を通じた間接的な情報収集がある。彼ら/彼女らの出身地・調査地である湖南省衡陽市、雲南省曲靖市、あるいは山西省晋城市、湖北省黄岡市などの農村で調査を展開され、それらのデータが本科研の共有財産として蓄積された。現地調査の成果は、東京大学大学院総合文化研究科「アジア社会比較発展論」、同教養学部地域文化研究学科アジア・日本コースの「東アジア地域研究演習」において調査者を含むゼミの受講生と共有された。 また年度内に発表された本課題に深く関わる成果物として、"Heteronomous rationality and rural protests: Peasants’ perceived egalitarianism in post-taxation China," 「交叉地帯と基層幹部」、『中国農村の現在』(中公新書)などがある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査が実施不可能であることはある意味、想定内であり、その分、大学院留学生とタイアップすることで現場の情報をアップデートし、さらに統計、新聞、文学作品など文献資料をかつて以上に意識的に利用することで、一定の成果を上げることが可能になったため。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査は依然として不可能であることが予想されるため、引き続き大学院留学生とタイアップし、教育活動とも結びつけながら現場の県域社会の情報のアップデートを行う。さらに統計、新聞、文学作品など文献資料の収集、読解、分析作業を続ける。
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