研究課題/領域番号 |
21K12403
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 同志社大学 (2022-2023) 京都大学 (2021) |
研究代表者 |
吉田 悦章 同志社大学, ビジネス研究科, 教授 (60506351)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | イスラーム / イスラーム金融 / ネットワーク型金融取引 / SDGs / フィンテック / デジタル銀行 / シャリーア |
研究開始時の研究の概要 |
近年イスラーム世界においては、情報通信技術(ICT)を活用した、「イスラーム版のネットワーク型金融取引」が増加している。これを対象に、次の2点につき評価を試みる。 (1)イスラーム版のネットワーク型金融取引が教義(シャリーア)的価値を実現する方向にあることを実証的に評価すること。イスラーム金融は商業的には成功したとの評価が一般的である一方、それが教義の目指す方向にあるかという観点においては懐疑的・批判的な向きも多い。本研究により、イスラーム金融の発展史への貢献を試みる。 (2)教義的価値とSDGsとの類似性を検証すること。この作業により、政策的な支援等で上記分野の成長可能性が高まる点を示す。
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研究成果の概要 |
ネットワーク型金融取引がイスラームの教義的価値の創出に貢献しているかという研究命題については、概ねYesと言える。イスラームの経済面の教義的価値は公平性の実現と事業の促進に大別される。前者については、様々な寄付性取引(ザカートやワクフと呼ばれる)のネットワーク型金融による実現、インパクト投資と呼ばれる形態で社会的課題の解決を目指す取引などが観察される。後者についても、投資型クラウドファンディングにおける効率的な投資実行や資金管理により、事業が促進されている。 ただし、デジタル銀行であっても教義的価値を意識せず利益追求のみとする事例もみられ、ICT環境をいかに活用するかは事業者次第と評価できる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、情報通信技術の進展によりそれを大いに活用したイスラーム金融取引が増加しており、その中には、イスラームの根源的な価値基準である公平な社会の実現や経済活動の活発化に貢献しているものがあることが分かった。このように、情報通信による金融取引と教義価値を結びつけた研究は稀有であり、大きな学術的意義が確認される。 とりわけ、公平な社会の実現という観点は、近年の経済社会の方向性として認識されるSDGsとも重なる部分が多い。このため、情報通信ネットワークを活用した金融取引は、イスラーム圏以外の社会も含めて、政策的な支援を受けて拡大し、その効果は宗教を超えた意義のあるものと評価することができる。
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