研究課題/領域番号 |
21K12410
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
伊藤 みちる 大妻女子大学, 国際センター, 准教授 (70768019)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 白人性 / カリブ海 / ジャマイカ / トリニダード / バルバドス / カリブ / 人種 / ポストコロニアル / 旧英領 / クレオール / オーラルヒストリー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、多文化共生が実現されている旧英領カリブ3島(トリニダード・バルバドス・ジャマイカ)において異なる白人性が構築されている背景を明らかにする。その目的に向けて、これまで系統的な研究の蓄積が未着手であった、上記3島の少数派であるヨーロッパ系市民を対象に、個人の経験の語りを収集し、異質なものへの対応法という視点で分析する。本研究の独自性は、クレオール、ジェンダー、アイデンティティ、多文化共生などの研究に重要な事例を提供するとともに、白人性という切り口で上記3島の社会を俯瞰しながら、多文化共生社会を可能とする異文化への寛容の姿勢を上記3島の事例として明らかにする点にある。
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研究実績の概要 |
2023年8月にジャマイカで行ったフィールドワークでは、計画以上の調査を実施することができて、想定以上の量・質のデータ収集が可能となった。そのため現代ジャマイカで自身を「白人」と認識するさまざまな人種的・社会的・経済的・政治的背景を持つ人々の白人性構築過程の一端を明らかにするための大きな一歩となった。 現代ジャマイカの「白人」について新たな知見を得たのは、①ジャマイカの「白人」の歴史的背景、②ジャマイカの「白人」の階層格差や社会的差異、階層間移動、③ジャマイカの「白人」と、本研究で比較対象とするトリニダードやバルバドスにおける「白人」との共通点・相違点、④ジャマイカにおける「白人」と「非白人」との関係、⑤ジャマイカの「白人」の異人種間結婚や混血に対する姿勢、身体的特徴への執着、人種差別や白人優越主義の度合いなどである。 2023年6月、メルボルンで行われた国際社会学会では“Survival of the Privileged White Minority in the Black Majority Caribbean: How Whiteness Is Reinforced and Enforced”というテーマで研究発表を行った。同学会では他研究者のオーストラリアやブラジル、インドや中国、シンガポールやフランスなどの白人性に関する研究発表を聞く機会に恵まれ、本研究対象の旧英領カリブ海地域の白人性と比較することで、本研究対象を分析するためのさらなる客観的な視座を持つことができた。 2023年7月、質的社会学研究会(オンライン)では「旧英領カリブ海地域における少数派としての白人性-トリニダードの事例:異人種間結婚・混血児に対する姿勢-」というテーマで研究発表を行った。本研究成果がさまざまな社会学理論に対してどのような検討を促すことができるのか、本研究の意義を再確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究が遅れている大きな要因は新型コロナウイルス感染症の影響である。本研究計画の開始から2年間は世界中で大規模感染が起こっていた2021年から2022年と重なる。大規模感染中の2年間は国内外の移動が制限されていたため、本研究の遂行のために必要なトリニダード・バルバドス・ジャマイカにおけるフィールドワークが実施できなかった。その影響は甚大である。そしてコロナ禍で本務校業務が滞った後、現在はコロナ禍で滞っていた本務校での業務が一気に再開し、遅れを取り戻すべくコロナ前以上の業務量となっている。そのため研究に割ける時間が通常よりさらに限られていることが最大の理由である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は研究の遅れを取り戻し、推し進めるべく、特にジャマイカでのフィールドワークの機会を持ちたい。具体的には2月か3月に可能性がありそうである。とはいえ、さまざまな予期せぬ状況に陥ってフィールドワーク実施が叶わなかったとしても、現在すでに収集しているデータを新たな視点から分析したりコロナ禍での工夫を通じて獲得したSNS分析などの手段を駆使して、なんとか研究を前進させたい。 本研究プロジェクトは最終年度に入るので、口頭や活字での研究成果発表の機会を持ちたい。今のところ、11月頃の口頭発表が決定している。そのほか投稿中の論文が2つある他、複数の論文を執筆中である。
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