研究課題/領域番号 |
21K12419
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
葉山 アツコ 久留米大学, 経済学部, 教授 (30421324)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | フィリピン / 植林政策 / 木材産業 / 産業政策 / 人工林 / 育成的林業 / 木材流通 / 採取的林業 / 植林政策失敗 / 木材産業政策 / サプライチェーン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、長年植林に取り組んでいるにも関わらず森林再生が実現しないフィリピンの植林政策は失敗であるとの認識に基づき、木材産業政策の観点から植林政策失敗の根本原因を解明することを目的とする。植林政策失敗の根本原因は、木材流通、加工に至るサプライチェーンを衰退させてきた歴代政権の木材産業政策にあるとの問題意識に基づいて、戦後の各政権の木材産業政策内容、決定プロセス、背景にある論理構造を明らかにする。
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研究実績の概要 |
森林再生はフィリピンの森林政策の最重要課題であり続けている。本研究は、同国が長年植林政策に取り組みながら目的を達成できずにいる根本原因を産業政策からアプローチすること、すなわち、植林政策失敗の根本原因は、素材生産から木材加工までのサプライチェーンを衰退させた歴代政権の木材産業政策にあるのではないかとの問題意識に基づき、歴代政権の木材産業政策の内容、決定プロセス、背景を探究することである。フィリピンでの関係官庁や関係者への聞き取り調査が必須であるが、まずは文献調査を進めている。 初年度の2021年度、22年度とも木材産業業界誌(1955年創刊、2002年廃刊の' Philippine Lumberman')及び木材産業組合会誌(1934年組織発足)の既に収集した各号から木材産業政策などの関する記事を抽出し、内容を整理する作業を進めている。両文献ともに木材産業興隆期から衰退期までをカバーしているため、本研究における重要文献である。木材産業業界誌全約400号のうち、約7割の収集を終えている。木材産業組合会誌は近年度分を収集しているが、多くが未収集である。歴代政権時の木材産業政策関係の公文書の収集はこれから行わなければならない作業である。 歴代政権の木材産業政策を理解するためには、木材産業政策を同国の工業化政策に位置づけることが重要である。そのため、同国の工業化政策についての既往研究の調査も同時に進めている。歴代政権の工業化政策、同国に特徴的なファミリー・ビジネスと政治との関係(木材産業は中華系ファミリー・ビジネスとの関係が深い)、中小企業(木材産業の事業規模はほとんど中小である)の位置づけなどに関する既往研究に調査を進めている。木材産業(製材、合板、家具など)への理解を深めるために、日本の木材産業に関する文献調査も進める必要があるが、これらの文献収集を始めたばかりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度の2021年度は、予定していたフィリピンでの現地調査がコロナ禍のためにできなかったこと及び勤務大学のコロナ禍対応措置に伴う遠隔授業への対応、学内業務、他の研究などに多くの時間を充てなければならず、本研究のための時間を十分確保することができなかったためである。22年度の研究の遅れの理由も、学内業務と他の研究に多くの時間を費やさねばならず、本研究のための時間を十分取ることができなかったことによる。21年度、22年度ともにかなりの時間を充てなければならなかった学内業務は、今年度も同じ業務を行うことになっているが、業務に慣れてきたため充てる時間を短縮することができると考えている。 2022年度からフィリピンへの入国及び国内移動の制限がなくなり春季休暇中に渡航することができた。この渡航は別の研究の調査を行うことが目的であったため、本研究をフィリピンで進めることはできなかった。ただし、別の研究の調査に付随して本研究に関連する情報を得ることができた。特に有益であったのは、歴代政権の木材産業政策も含め森林政策策定に深く関係している林業専門家の組織(Society of Filipino Forester, Inc.、メンバーの多くが、森林行政の監督機関である環境天然資源省の元職員)についての情報を得たことである。今後のフィリピン渡航では、同組織にて本研究に関する聞き取り調査を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を遂行するための重要文献として位置づけている木材産業業界誌('Philippine Lumberman')の多くの号を所蔵しているフィリピン大学林学・天然資源学部図書館及び国立林産物研究開発研究所図書館が所蔵していない号のうち、日本の研究機関(アジア経済研究所、森林総合研究所など)が所蔵している分については、収集とそのデジル化を進めたい。フィリピンの木材産業政策関係の公文書に関しては、同国にて関係官庁(国家経済開発庁、貿易産業省、環境天然資源省など)での関係者への聞き取り調査とともに収集を行いたい。さらに木材産業組合会誌を発行している木材生産者組合の事務局長への過去数回聞き取りを行っている。フィリピンにて木材産業組合会誌のバックナンバー収集への協力を要請する予定である。 2023年度以降は、勤務大学での夏季休暇及び春季休暇を利用してフィリピンでの調査を進める予定である。それ以外の時間は、木材産業業界誌各号からの関連記事抽出と内容整理及びフィリピンの歴代政府の工業化に関する既往研究の調査を進めていく予定である。
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