研究課題/領域番号 |
21K12420
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
黒田 賢治 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 助教 (00725161)
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研究分担者 |
吉田 雄介 せとうち観光専門職短期大学, 観光振興学科, 准教授 (20469240)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 日本 / 中東 / 近代 / 地場産業 / グローバル・ヒストリー / イラン |
研究開始時の研究の概要 |
近代日本と中東地域との関係について、両地域間の貿易関係を通じたモノの往来と、往来したモノの背景にあった同時代の国際的な政治経済的関係のなかで展開した日本の産業構造との関係について(1)近代日本と中東地域間の貿易関係の把握、(2)近代日本の紡績産業とエジプト綿の輸入、(3)近代日本の地場産業の構造的変化と対中東輸出関係の変化検討し、近代における日本と中東地域とのモノを媒介としたローカルなレベルでの相互依存関係について明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度においては、研究代表者が清国や朝鮮半島などで栽培される生綿ではなくエジプト繰綿が日本に導入される過程および生産との関係について社史を利用しながら研究を行い、研究分担者が引き続き関西地方および周辺で行われてきた問屋制家内制手工業として行われてきたブラシや工場制手工業として行われた団扇などの雑貨生産と中東輸出の関係について研究を進めていった。その結果、江商によってエジプト綿の日本への輸入が始められるとともに紡績としては中番手のガス糸生産に用いられ、相対的に高級品の生産に利用されていたことが明らかになった。また今日の中東諸国へはアメリカなどに比して相対的に輸出額が少額であったことから、雑貨について生産地の特定が困難であるものの、各業界の動向として生産構造の変化について把握することができた。 また昨年度に日本本土の統計では全く把握されておらず『台湾外国貿易年表』にまで広げ、台湾とのアヘン交易についてのみ統計上把握できたものの、他の雑品についてはインドを経由した交易が多数の資料で示唆されていたペルシアとの輸出入関係について研究を進めた。本年度には、イランの国会図書館文書センターから刊行されたフランス語およびペルシア語のペルシアの貿易統計を入手できた。しかしこの資料にはいくつかの統計資料としての問題(たとえば国境での価格でなく市場価格で記載されることや密輸の問題)があることが、イラン経済史で指摘されていた。そこで資料の使用上の注意について整理しながら、データの整理を進めた。その結果、日本側の資料では間接的な輸出関係の示唆にとどまっていた日本からペルシアへの輸出状況をある程度正確に把握することができ、その成果を口頭発表として成果発信を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように研究内容については、本年度、当初の計画していたエジプト綿花と日本の綿糸・綿布生産との関係について研究に着手でき、一定の情報の整理を図れた。また研究分担者と協力することで、当初の計画よりも早く雑貨製造について引き続き研究を前もって進めることができている。一方で紡績関係の研究は日本の近代経済史において重厚な研究がなされているだけでなく、近年ではグローバルヒストリーの観点から進められた研究も報告されており(たとえば、2015年に刊行されたSven BeckertのEmpire of Cotton: A Global History)、研究史上の位置づけならびに生産構造との細かな関係を把握することが課題として認められ、次年度以降にも引き続いて研究を行う必要があることが判明した。そのため前倒しで行ってきた研究到達目標までの余力との関係から、おおむね順調に進展していると判断できる。 また成果発信面については、昨年度に整理した貿易統計を具体的な成果として公表していくことを課題としていたが、これについては研究実績で述べたように本年度にペルシアの統計を入手して整理する作業を実施するとともに、すでに口頭発表を行い、次年度に論文としてまとめる計画を進めている。しかし整理したエジプトやトルコの統計などの統計については口頭発表で利用したに過ぎないため、次年度以降の課題として残されているものの、単にデータとして公表するよりも日本における生産との関係で公表することが望ましいと思われる。そのため一定程度、成果発信の課題を達成することができたにとどまっているものの、今後の研究活動と結びつけながら軌道修正を図ることができるため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度途中から近代の関西地方の雑貨の研究に従事する吉田雄介氏を研究分担者に加えることで、統計など量的側面に関する情報整理および本年度から進める綿糸・綿布関係を研究代表者が担い、吉田氏が関西および周辺の小規模な雑貨製造について研究を進めていく体制を整えた。本年度においても、この体制で研究活動を推進することで、日本の近代経済において多角的な研究蓄積のある綿糸・綿布関係の研究について次年度以降も期間を延ばして取り組むことができ、質的な面で研究の深化が図れる体制になっている。 当初の研究計画では、3年目には神戸市の地場産業として展開するマッチおよびケミカルシューズ生産に大きな影響を与えてきたゴム産業に関する研究を進めていくことにしていた。しかし現在までの進捗状況で述べたように綿糸・綿布関連の研究を研究代表者が次年度も進めていく必要があり、引き続き行っていく。また研究分担者がすでに雑貨生産について進めているものの、取引額の関係もあり業界として中東向け輸出について十分に把握できていないことが判明している。そこで輸出にあたる仲介者となった在神戸外国商人の動向について英字新聞などを手掛かりに把握し、そのうえでこれまで行ってきた雑貨製造の変遷をめぐる動向を加えて検討する。加えて、必要に応じて輸出先である中東各国、特にイランやエジプトへの資料収集を目的とした現地調査を実施していく。
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