研究課題/領域番号 |
21K12423
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
加藤 美保子 広島市立大学, 付置研究所, 講師 (70612018)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ロシア / 旧ソ連地域 / 中ロ連携 / 同盟 / 国際秩序 / ウクライナ戦争 / グローバル・イースト / ロシア外交 / 戦略的パートナーシップ / 旧ソ連友好国 / インド / 主権 / 中国とロシア / 秩序形成 / 戦後国際秩序 |
研究開始時の研究の概要 |
先行研究ではクリミア併合後の東方シフトは中国シフトと同意であるとされ、これを脱するためには日韓などアジアの経済的先進国との関係拡大が不可避だと指摘されてきた。しかし1990年代と異なり、欧米諸国との対立構造が固定化しても、ロシアは国際政治でプレゼンスを維持し孤立を回避している。本研究は、過去20年間にプーチン政権が進めてきた、中国及びソ連時代の友好国(インド、ベトナム、北朝鮮)との関係回復と、中央アジア、中東を含む地域協力の制度化(EAEU、SCO、RIC、東方経済フォーラム)に着目し、これらの国家グループを主導する中ロの秩序形成の意思、手段、能力とその投影範囲について検証する。
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研究実績の概要 |
本プロジェクトの第一の目的は、中ロ善隣友好協力条約締結以降のロシアと中国の連携体制の性質を構造的・多角的に再検討し、なぜこの連携はこれまで決定的な対立を回避しつつ耐久性を高めてきたのかを考察することである。これを踏まえて、第二の目的は、アメリカ主導で形成・維持されてきた第二次世界大戦後の国際秩序に対する中ロ連携のインパクトを検討することである。2022年2月以降続くロシアによるウクライナ侵略(以下、露ウ戦争)により、ロシアを取り巻く安全保障環境、国際関係、経済関係は大きな影響を受けている。この状況は、本プロジェクトの目的と大きく関わるものであることから、2022年度は、国際情勢の現状把握に大きな労力を費やした。 露ウ戦争の勃発後、背景について時系列的に整理し、国際社会の反応とその背景について所属先のシンポジウムやマスメディアで発表した。この内容を、一般向けに書き起こしたものを広島平和研究所ブックレットVol.8『広島から戦争と平和を考える』に寄稿した(「第5章 ウクライナ戦争ーロシア外交の観点から」)。また、欧米が呼びかける対ロシア経済制裁網に参加しなかったり、国際連合総会でのロシア非難に関する決議で「反対」「棄権」「無投票」を選択するグローバル・サウスに属する諸国の立場や、戦争が日露関係にもたらすインパクトについて分析を行い、NIRA総合研究開発機構のウェブサイト上に掲載された。 本来の2年目の課題は、日米同盟、日韓同盟、クアッドに対するロシアの認識の変化を検討することであった。しかし露ウ戦争を受け、欧米との協調に失敗した1990年代に注目し、チェチェン戦争、コソヴォ紛争、ロシア-グルジア戦争の過程で、国家主権規範と自決権規範の恣意的運用を巡ってロシアと欧米諸国の対立が顕在化する過程を分析し、国際政治学会で報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症や戦争勃発による海外渡航制限のため、予定していた海外での聞き取り調査を延期した。しかし、オンラインで国際学会のセッションに参加したり、セミナーを行うことができたので一定の進捗と成果を得ることができた。 2022年度は、露ウ戦争が起きたことにより、本プロジェクトの前提や目的にどのような影響が生じるか見極めが必要であった。そのため、予定していた研究計画の通りに研究を進めることよりも、現状分析に注力することになった。しかし、その結果、本プロジェクトが対象としている中国、インドをはじめとする旧ソ連友好国・同盟国とロシアの関係が、今後の国際秩序の動向に極めて重要な影響を及ぼすことを再確認することができた。当初の研究計画に若干の遅れと変更が生じているが、国際情勢の変動を考慮すると、今後の研究の方向性を明確にするためには必要な作業であったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」で述べたとおり、中ロ善隣友好協力条約締結以降のロシアと中国の連携体制の性質を構造的・多角的に再検討するという第一の目的については、露ウ戦争後も協力のレベルが落ちていないことを念頭に置きつつ、二国間の制度的分析と、中ロを取り巻く関係諸国の勢力バランスの分析の両面から研究を進める。 一方、アメリカ主導で形成・維持されてきた第二次世界大戦後の国際秩序に対する中ロ連携のインパクトを検討するという第二の課題については、検討対象とする地域と時間軸をより広く捉えてみたいと考えている。具体的には、露ウ戦争後に露呈した、国際政治におけるグローバル・サウスや旧ソ連構成国の独自路線の動きに鑑みて、中ロ連携を冷戦後の旧社会主義陣営=グローバル・イーストの国際関係の再編の文脈に位置付け直して検討してみようと考えている。
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