| 研究課題/領域番号 |
21K12424
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| 研究種目 |
基盤研究(C)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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| 研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中野 久美子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20811269)
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| 研究分担者 |
岩本 萌 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70894492)
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| 研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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| キーワード | ポジティブデビアンス / プラネタリーヘルス / 国際保健 / 健康の社会的決定要因 / 先住民保健 / 北極 / アラスカ / コミュニティヘルスワーカー / 先住民 / 健康格差 / 米国 / positive deviance / mixed method / アラスカ先住民 / community health worker |
| 研究開始時の研究の概要 |
アラスカ州に点在する先住民居住地域におけるコミュニティ・ヘルス・ワーカー(以下CHW)が活躍する保健サービス供給システム(以下CHW制度)は、その厳しい環境下、長い年月を経て発展し、現在では諸外国から視察を受け入れるなどして制度の適用が進んでいるが、学術的には十分に検討されていない。
本研究では、課題解決型の発想を転換し、同環境下でも有意に高評価のCHWを好事例(=ポジティブ・デビアント)とおき、活動活性化要素を抽出する。4年間の計画として、第1段階では、既存データから定量的に好事例を特定、第2段階では、CHWの活動活性化要素を定質的に抽出する。第3段階では、これらの結果を統合し理論化をはかる。
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| 研究実績の概要 |
本研究は、アラスカ州の先住民地域におけるコミュニティ・ヘルス・ワーカー(CHW)制度に注目し、その中でも地域保健活動を活性化させているCHWを「ポジティブ・デビアント(PD)」として抽出・分析し、PD的行動の特徴と背景要因を理論化することを目的として実施された。研究の結果、PD的CHWの特徴として、地域住民との持続的な信頼関係、文化的文脈の理解、上位組織との柔軟な関係構築、そして高い自己効力感などが明らかとなった。
初年度には、アラスカ州保健局ならびに地域に配置され、アラスカのCHWであるコミュニティ・ヘルス・エイド・プラクティショナー(CHA/P)との連携体制を確立し、CHW制度に関する基礎情報の収集と分析を実施した。村クリニックより提供されたデータを用いて、活動実績・住民からの評価・定着率など複数の観点からPD的なCHWを抽出する基準を設定した。今後州内複数の先住民村落から高評価群を定量的に抽出する作業を行う。また、CHA/Pに関する文献レビューやインタビューにより、各村の制度運用や歴史的背景、地域ごとの課題も整理された。
2年目には、初年度に特定されたPD的CHWを対象に、半構造化インタビューを実施した。聞き取りは、CHW本人に加え、同僚、上司、地域住民を含む関係者への三角測量的手法により進められた。インタビューでは、活動を支える動機や工夫、住民との関わり、文化的実践との調和、制度との向き合い方など多角的な視点から情報を収集した。得られた逐語録をもとに質的分析を行い、PDを構成する行動要素を整理した。その結果、「内発的動機づけ」「地域の知を活用した柔軟な対応」「CHA/Pとの信頼関係」「自己決定的な学び」などがキーカテゴリとして抽出された。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
3: やや遅れている
理由
研究開始年からの新型インフルエンザ流行による現地渡航不可の影響と、配偶者海外同行休暇を取得したことにより、研究計画に大幅な遅れが生じ、現在まで影響が生じている。インタビューデータ収集については概ね完了しており、今後量的データの収集、分析、整理、研究成果の共有・投稿・発信と延長年にかけて行う予定である。
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| 今後の研究の推進方策 |
本研究においてこれまでで得られた成果は、アラスカ州の先住民地域におけるCHW(コミュニティ・ヘルス・ワーカー)の中でも、特に活動が活性化している“ポジティブ・デビアント(PD)”的事例を定量・定性的に抽出し、PDと位置づけられる行動の実態と背景を構造的に把握する基盤を築いたものである。今後は、この基盤を踏まえて、PDの理論化と応用可能性の検証を中心に研究を展開していく。
今後は、これまでに収集・分析したインタビュー記録の内容分析をさらに深化させ、PDを構成する要素とその相互関係を明確にする。そのうえで、PDと位置づけられるCHA/Pに共通して認められる行動特性や環境要因を抽出し、理論的モデルとして体系化する予定である。また、分析で得られた知見を、現地のCHA/Pや保健局関係者、住民代表等と共有し、フィードバックセッションを実施することで、研究結果の妥当性を実践現場の視点から検証する。ここでは、文化的文脈への適合性や制度上の実行可能性を含め、モデルの汎用性と実践的活用の可能性を対話的に評価することを重視する。
このモデルは、CHWの活動成果を説明・予測するフレームワークとして、地域保健の実践現場におけるk研修等にも応用可能なものとなることを目指す。 最終年には、理論モデルをベースとして、他地域との比較や国際的視点からの検討を加えることで、PDアプローチの普遍性と地域特異性を踏まえた応用展開へとつなげていく予定である。
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