研究課題/領域番号 |
21K12429
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
丸田 孝志 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (70299288)
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研究分担者 |
三品 英憲 和歌山大学, 教育学部, 教授 (60511300)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 公共性 / 政治統合 / 模範 / 福利厚生 / 戦時動員 |
研究開始時の研究の概要 |
公私が一体となった形で「私利私欲」を排除して成立する公共性を歴史的に形成してきた中国の政治と社会の状況が、20世紀の半ばの中共の政治権力においてどのように継承され、どのような新たな特徴が付与されているかについて、基層社会における一般党員・兵士・復員軍人・烈士の遺族・傷痍軍人らからなる模範・積極分子らの自己犠牲を基調とした政治運動への組織の状況と、権力による動員手法の分析を通じて明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は、1950年代の中国共産党政権における烈士・軍人家族と現役・復員・傷痍軍人ら革命の模範の継続した自己犠牲による戦時動員と社会主義建設の推進の実態と、権力構造を明らかにした。これらの人々は、家族の情に依拠しつつ革命の権威を帯びた社会的弱者として基層において動員を推進する重要な力となった。 研究分担者は国共内戦期の中共根拠地の権力構造の変動を分析し、農村社会の実態とは乖離した政策の急進化とその是正の中で、住民同士の横の対立が造成され、互いが自身の安全を保障するために、監視し合い、党への忠誠合戦を繰り広げる状況が生まれ、結果として党の社会に対する操作性が高まっていく状況を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、公私が一体となった形の公共性を歴史的に形成してきた中国の政治と社会の状況が、20世紀半ばの中共権力においてどのように展開したかについて、権力の末端に繋がる基層の人々の政治動員における位置づけを分析することで探究した。 市民社会の原理とは異なり、道徳を国家権力に一体化させた中共の独自の統治(金観涛・劉青峰 2001)において、倫理規範と一体化した権力の末端組織は、統治の安定に重要な役割を果たしており、基層社会における倫理規範のネットワークが早期に形成されたことを示することができた。このような社会の規範ネットワークは、現代社会のサードプレイスの成立要件の検討に繋がる意義を持つであろう。
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