研究課題/領域番号 |
21K12450
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
小宮 正安 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (80396548)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 観光史 / 文化史 / 社会史 / 西洋史 / 芸術史 / 音楽史 / 思想史 / 地域研究 |
研究開始時の研究の概要 |
19世紀半ば以降ドイツ語圏の統一が進められる過程で、ドイツ文化の象徴と目された典型的存在がベートーヴェンである。しかも当時のドイツ語圏においては観光産業が勃興を遂げる中、ベートーヴェン関連の催しが頻繁におこなわれ、特に誕生の地ボンや活躍の地ウィーンでは「ベートーヴェン・イヴェント」とも呼べる現象がしばしば見られるようになった。 本研究では、観光産業と協働しつつ、ドイツ語圏で展開されてきたベートーヴェン関係の催し物の沿革を文化史の側面から検証し、そこから演繹されるベートーヴェン受容のあり方やドイツイメージの変遷、さらにコロナ禍の克服を模索する我が国のツーリズムへの応用可能性を探る。
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研究実績の概要 |
2022年度は、コロナ禍のために完全に遂行できたとは言い難い状態であった2021年度の研究予定のフォロー、即ち19世紀半ばから今日に至る「ベートーヴェン・イヴェント」の歴史を俯瞰し、文化史的にいかなる分析方法が可能であるのかについて、「ベートーヴェン・イヴェント」の歴史的一次資料の収集を通じ、ドイツ語圏がヨーロッパ有数の観光地並びに観光立国を擁するにあたり、「ベートーヴェン・イヴェント」がいかなる役割を果たしたかについての再検討をおこなった。 また上記の再検討と同時に、音楽家の受容と密接に関わる観光イヴェントにおけるイメージの確立の方法と可能性、ドイツ語圏の文化遺産とそれにまつわるイメージに関する観光事業の役割と影響力、といった、相互に関わりあうメカニズムの解明に向け、考察と研究を展開した。 結果、ドイツ語圏における「ベートーヴェン・イヴェント」の展開を具体的な柱としながら、観光政策を通じて浮かび上がるベートーヴェン・イメージの受容と、ドイツ語圏の文化イメージの相関関係について詳細な分析を実施できた。(とりわけ1870年のベートーヴェン生誕100年祭にあたっては、ウィーンやベルリンといったドイツ語圏の大都市のみならず、地方都市においても、時に街の規模を上回るような内容のベートーヴェン祭を、しかも観光を視野に入れながら展開していることを知ることができたのは大きな収穫であった。19世紀に確立された「楽聖ベートーヴェン」のイメージが、即観光と密接な関係を持つに至ったのは、きわめて興味深い現象である。)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は2021年度に比し、コロナ禍の感染拡大状況に応じた大学側の渡航制限基準やそれに伴う諸手続きの緩和が実施されたため、オーストリアでの調査が可能になり、ウィーン楽友協会資料館をはじめオーストリア国立図書館等における文献調査、インタビュー調査が可能になり、研究を大きく遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、日本において「ベートーヴェン・イヴェント」がいかなる形で受け入れられてきたかという受容史の側面についても詳細な分析を進めつつ、そのメカニズムを構成する要素がコロナ禍によってどのように制限されたのか、一方そのような制限下で「テクノロジー」の応用によってどのような対応が可能か、という視点からの戦略形成を、これまでの資料収集を基に分析し、こうしたイメージ形成のあり方から演繹される我が国のツーリズムに対する応用論や方法論を提言する予定である。
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