研究課題/領域番号 |
21K12451
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
安藤 哲郎 滋賀大学, 教育学系, 准教授 (30706776)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 舞台 / 近江国 / 貴族日記 / 説話 / 観光 / 旅 / 古代 / 中世 / 古典 |
研究開始時の研究の概要 |
インバウンド増加等による日本の観光の発展は、「オーバーツーリズム」になる観光地と恩恵を受けない地域との格差も生じさせていた。さらに、COVID-19の世界的流行で観光は大きな打撃を受けた。今後の観光では、インバウンド需要中心の「消費する旅」を取り戻すよりも、内容的に質の高い旅を追求し、何度でも足を運びたくなる旅を構築することが不可欠である。そこで本研究では、古代・中世の古典で描かれた舞台を地理学的に分析して、その成果を活かした質の高い旅のプランを創造・提案(web公開)し、地域資源の新たな活用を目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度はこれまでに進めてきた古代・中世の古典の舞台の整理と、それを活かした旅のプランの作成を行うことを中心に進めてきた。 前者については、整理したうちの近江国の舞台について、貴族日記の記述内容の傾向や説話の内容との比較検討を行い、特に説話の舞台として登場回数の極めて多い比叡山と、その比叡山と長く対立していた三井寺について扱ったものを、11月に人文地理学会大会で報告した。具体的には、三井寺では日記で都の人々の訪問や仏法の話題が主に展開されていた時期には説話も仏法興隆の話が多いが、戦との関わりが多く記される時代になると説話にもその要素が反映されていることが、平安京とその周辺でも本来は「登場人物にとって期待すべき内容」の説話が多い京外の寺社で「登場人物にとって好ましくない内容」が増えていく傾向と似ていることを指摘した。比叡山では、「登山」の記事の分析によれば、院政が本格的に開始される以前には法事のための訪問が多く、以後には争論や戦乱に関連しての訪問が増加しているが、説話との比較では話数の多さの割には「登場人物にとって好ましくない内容」が少なく、この点では賀茂神社や清水寺に近い傾向があることを指摘した。同じ近江で都に近接する舞台ではあるものの、説話での扱われ方の傾向がやや異なる面がある。 後者については、神戸と平氏政権との関わりをテーマにして、福原の御所跡付近や大輪田泊付近を回るプランを考案し、12月に兵庫県立大学でコラボ授業を行う機会を得たので、そこで受講生に示した。おおむね好評だったようなので、次年度以降、提案していくプランの1つとして考えていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は学会報告も実施でき、また作成した旅のプランを出前授業の際に公表して意見をもらうなどの成果があったため、単年度としての進展は見られた。しかし、本務校で専任教員が減って担当科目が増えたことやアルバイトをお願いできる学生が例年より少なかったことなどから、2021・2022年度にやや遅れていた進捗状況を取り戻すことは非常に難しい状況であったため、具体的な成果を少し出すことができたとはいえ、全体としてはまだやや遅れていると評価せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
3年間進めてきた結果として、網羅的に全国的な舞台を整理し、分析することはこれまで通り継続していく一方、具体的な旅のプランを創出する部分については、まず少し地域を絞った形で先行して進めていくことが重要であると考えた。その理由として、地域を絞った形の方が事例を示しやすいだけでなく、インパクトの面でもある程度集中する方がよい部分もあると考える。また、やや遅れている部分もあり、少し迅速に進める計画で遂行していく必要があるためという意味合いも含む。
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