研究課題/領域番号 |
21K12452
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
寺岡 伸悟 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (90261239)
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研究分担者 |
櫻井 清一 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (60334174)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 農村観光 / コロナ |
研究開始時の研究の概要 |
このたびの新型コロナ蔓延は、農村観光に未経験の打撃を与えた。しかし、農村観光はこうした打撃から立ちなおる時期に入らねばならない。本研究では、農村観光事業者がこの時期に経た苦難を記録し、それへの対処やそこで思考したことを尋ね、彼らが受けた困難とその対処の経験過程を、インタビュー調査や資料調査によって記録する。また、そうした苦難からの回復と、それに伴って進むであろう事業変容の過程を追跡調査する。さらに、そうした過程で、彼らが「真の持続可能な農村観光とは」という問いをどのように受けとめ、形にしていくかを見つめ、記述していく。
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研究実績の概要 |
農村観光に地域ぐるみで取り組んでいる事例(熊本県)や奈良県吉野郡の事例を定点観測的に訪問調査を行い、コロナ収束後の事業の回復状況、およびそれに関するスタッフ、参加住民の解釈を調査することができた。その中で、新たな発見があった。それは、農村観光事業のなかの食に関する事業については、コロナという感染症の性格上、回復が遅れることは予想されたし、また予想通りであったが、それ以外の事業、たとえば農村体験事業などもいまだ回復していないこと、また、農村観光事業以外の、もともとの集落の伝統行事祭礼などがコロナ以後復活していない、あるいは廃止が決定された、ということが大きな発見であった。この理由は、それまで慣例として続けてきた、続けることが当然だとおもってきた、地域の行事が、コロナ下で一旦中止されることによって、やらなくても良いのだ、という認識が住民の間に芽生え、またやらなくなったことで、行っていたときの「しんどさ」が初めて住民たちに自覚されるようになった、ということである。 こうしたなかで、当然復活したい人ともう廃止したい人というカテゴリー分断がはじめて地域内に顕在化し、それが、農村観光事業においても影響を及ぼし、体験事業の再開を遅らせていることである。 また、ネット上から採取・整理した農村可能全国データベースは、地域別・観光事業種別に分析を行い、地域差、事業別の差などが明らかになってきている。しかしそのデータ数の多さや地域分類にいろんな解釈がありえることなどがわかり、分析に時間がかかっており、来年度成果報告を行うこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インターネット上のデータベース分析については、少し遅れているが、その理由も、初期的な分析の結果、地域区分というときの地域性について、しっかり考えるべきポイントが発見されたといった、ある意味研究の結果による新たな課題なので、より正確な分析に進める可能性が開けたと捉えている。事例分析については、上記にも記したような、地域文化と観光事業の双方がコロナによって影響を受けている、という大きな発見があったので、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は最終年度となるので、とくにR5年度に発見したことを、コロナ以後の変化を記述する事例研究として、論文等にまとめていきたい。 また、インターネットから取得した農村観光データベースからわかるコロナの影響・回復過程についての分析も、R5年度新たな課題として発見された地域区分の問題などを考え、最終的な報告論文等のかたちで発表することを予定している。全体的には、数字に現れない農村規範や対応過程の当事者による解釈などに重要な発見があったので、報告は事例と解釈を中心とした論文等になるかと思われる。
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