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「量から質へ」の観光政策の転換におけるDMOの役割―政策起業家としての機能性

研究課題

研究課題/領域番号 21K12474
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分80020:観光学関連
研究機関北海道大学

研究代表者

石黒 侑介  北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (00743238)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワードDMO / 欧州 / サステイナビリティ / サステナブル・ツーリズム / サステナブルツーリズム / 観光協会 / 観光政策 / デスティネーション・マネジメント / バルセロナ / ハワイ / 政策の窓モデル
研究開始時の研究の概要

本研究ではJ・キングダンの「政策の窓モデル」を援用し、DMOが「政策起業家」としての機能を有するのかを明らかにしようとするものである。具体的には、スペイン・バルセロナ市とアメリカ合衆国ハワイ州を事例として調査によって、観光政策における「量から質へ」の転換プロセスを考察した上で、「量から質へ」の政策転換メカニズムと政策起業家としてのDMOの役割のモデル化を試みる。その上で、日本版DMOである一般社団法人八重山ビジターズ・ビューローを対象としたアクション・リサーチを行い、そのモデルの実証性を問う。

研究実績の概要

延期していた国外事例調査を計画したが、本研究の申請書作成時に比べ、新型コロナウイルス感染症の影響による機材・路線の縮小や物価高騰、為替環境の変化により航空運賃・滞在旅費が高騰したため、今年度も国外調査が実現できなかった。そのため、欧州のDMOについての政策文書の分析を行うこととした。
具体的には、アムステルダム、バルセロナ、ベルリン、などの12都市について、各都市のデスティネーション・マネジメント戦略を入手し、これらの計量テキスト分析を行った。その結果、観光の量から質への転換が「サステイナビリティ」として共通かつグローバルなイシューとなっている一方で、政策的同化が生じやすい欧州においても一定の政策的分化が生じることが明らかになった。また、特徴的な語に基づいて、積極介入、市場融和、計画成長の3つに類型化できるという結論を導き、このうち、市場融和に分類されるリュブリャナ、計画成長に分類されるアムステルダムについてはDMOがその政策転換に一定の役割を果たしていることを指摘した。
従来は観光の量的拡大に対する批判的検討、オーバーツーリズム等に代表される観光の弊害の存在を指摘するに留まっていたサステナブル・ツーリズムの政策的検討を、観光先進国、観光大国が集積した欧州において政策の比較研究という形で行えたことの意義は極めて大きい。特に国際的な指標の導入など、政策的同化が指向されることの多い中で、欧州においても一定の政策的多様性が存在し、またその発揮にDMOが主導的な役割を担っている事例があることを見いだした点は、本研究の最も大きな価値であると考えている。
なお、これらの成果は日本観光研究学会の機関誌「観光研究」 Vol.35 特集号に掲載されたほか、同学会の全国大会において研究発表を行った。さらに国内の事例としてニセコのDMOによる持続可能性への取り組みについても論文として投稿した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナ感染症の拡大とその後の物価高騰の影響を受け、3年目の2023年度も国外事例の現地調査を行うには至らなかった。他方で、現地調査が難しいことを踏まえ、政策文書の比較研究を計量テキスト分析によって行い、その研究成果を論文化するに至ったとともに、学会での発表も行うことができた。当初より国外DMOの現地調査を前提としていたことを踏まえれば当初計画を変更した点、やや遅れていると言える点もあるものの、方法論の見直し等で十分にリカバリーできているものと考えている。

今後の研究の推進方策

当初は国外事例調査を行いDMOによる「量から質への転換」への関与プロセスをモデル化し、それを国内のDMOにおいて実証するという構造・プロセスを考えていたが、内外の環境変化により国内DMOの事例調査、国外DMOの事例調査については政策文書の計量テキスト分析に留まっている。今後は物価や航空運賃の趨勢を見極めた上で、国外事例調査を再度計画し、可能な範囲でモデル化にも着手し、国内へのフィードバックを行いたいと考えている。また最終成果の発表の場としての国際シンポジウム/セミナー等の企画についても準備を進めたい。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Ski Destinations' Responses to Future Climate Change from a Social-Ecological Resilience Perspective: A Case Study of Niseko Town and Kutchan Town in Hokkaido2024

    • 著者名/発表者名
      趙茜、石黒侑介
    • 雑誌名

      日本地域政策研究

      巻: 32 ページ: 4-12

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] サステナブル・ツーリズムの政策的同化と分化 ―欧州諸都市の政策比較を通じて―2023

    • 著者名/発表者名
      石黒侑介、中島泰
    • 雑誌名

      日本観光研究学会機関誌 観光研究

      巻: 35 ページ: 11-20

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 観光協会の法人化メカニズムに関する考察2022

    • 著者名/発表者名
      原田拓弥、石黒侑介
    • 雑誌名

      第37回日本観光研究学会全国大会学術論文集

      巻: - ページ: 39-44

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] DMOのネットワーク構造に関する一考察ー北海道・ニセコエリアを事例とした社会ネットワーク分析ー2022

    • 著者名/発表者名
      神奈川靖如、石黒侑介
    • 雑誌名

      第37回日本観光研究学会全国大会学術論文集

      巻: - ページ: 45-50

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] サステナブルツーリズムの概念の分解と再構築(リコンストラクション)2022

    • 著者名/発表者名
      石黒侑介、中島泰
    • 雑誌名

      観光文化

      巻: 254 ページ: 30-38

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 北海道内の観光協会の現状と課題2022

    • 著者名/発表者名
      石黒侑介
    • 雑誌名

      DMOのその先へ-量から質への転換を牽引する観光推進組織の現状と展望

      巻: 1 ページ: 1-29

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] サステナブル・ツーリズムの政策的同化と分化 ―欧州諸都市の政策比較を通じて―2023

    • 著者名/発表者名
      石黒侑介、中島泰
    • 学会等名
      日本観光研究学会第38回全国大会研究論文大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 観光協会の法人化メカニズムに関する考察2022

    • 著者名/発表者名
      原田拓弥、石黒侑介
    • 学会等名
      第37回日本観光研究学会全国大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] DMOのネットワーク構造に関する一考察ー北海道・ニセコエリアを事例とした社会ネットワーク分析ー2022

    • 著者名/発表者名
      神奈川靖如、石黒侑介
    • 学会等名
      第37回日本観光研究学会全国大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 岐路に立つ観光協会-地域「を」支える組織か、地域「が」支える組織か2021

    • 著者名/発表者名
      石黒侑介
    • 学会等名
      一般財団法人北海道東北地域経済総合研究所 地域経営研究会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [図書] DMOのその先へ-量から質への転換を牽引する観光推進組織の現状と展望2022

    • 著者名/発表者名
      北海道経済連合会・公益財団法人はまなす財団・石黒侑介
    • 総ページ数
      104
    • 出版者
      北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院
    • ISBN
      9784600007348
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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