研究課題/領域番号 |
21K12489
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
宍戸 学 日本大学, 国際関係学部, 教授 (00364290)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 観光教育の体系 / 観光ビジネス教育 / 海外の観光教育研究 / オーストラリアの観光教育 / 職業教育と観光教育 / 観光教育の教材 / 観光教育のプラットフォーム / 地域における観光教育推進組織 / 観光教育研究の分析 / 高大連携 / 高大接続 / 商業科教員養成課程 / 商業科教育法 / 学習指導要領 / 観光教育の接続 / 地域との連携 / 教員養成 / 地域の観光人材育成 |
研究開始時の研究の概要 |
観光教育には、観光を素材に学ぶ「観光の基礎教育」と観光の人材育成を行う「観光の専門教育」がある。2022年度に新学習指導要領で、商業科目「観光ビジネス」が導入されるが、高校の観光の専門教育は、十分議論されていない。また学校現場のみで観光ビジネス教育のカリキュラム開発や外部連携を行うことは容易ではない。以上から、本研究により、「観光ビジネス」を導入する高校の観光専門教育を検討し、高校普通科や小・中学校の観光の基礎教育を踏まえた観光教育の体系を考察し、高校の観光ビジネス教育の役割を明確にすることで、初等中等教育における観光教育の体系を明らかにし、大学の観光教育への接続を検討する。
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研究実績の概要 |
研究3年目は、これまでの高校の観光ビジネス教育調査を整理し、その成果をもとに、関係者との議論を経て、その結果を広く発信する予定であった。そして、実際に「観光ビジネス教育」に取り組む学校や地域を対象に、研究成果を教育実践に反映させ、その結果を「観光教育推進のプラットフォームサイト(仮称)」などの方法を通して、広く周知し、高校の観光教育推進に生かす予定であった。 しかし、勤務校の「海外派遣研究員制度」により、2か月間オーストラリアにて海外研究を行うことになったため、海外の観光教育の研究動向の調査を行うなど、一部研究内容の変更を行い、以下の通りの成果を得た。 (1)高校の観光教育のこれまでの変遷や現状と今後の展望について整理し、今後どのように観光ビジネス教育を進めていくべきかを考察し、高校の観光ビジネスの教科書を発行する出版社の関連情報誌に掲載し、全国の商業教員への周知を行った。(2)オーストラリア海外派遣研究期間に、オーストラリアの観光教育について、研究者へのインタビューや関連資料を収集し、その結果を日本観光ホスピタリティ教育学会にて発表した。(3)観光庁の教育推進事業「地域活性化のための観光教育推進事業」に有識者として参加し、北海道ニセコ町・岩手県釜石市・静岡県島田市など地域と所在する高校の観光教育の取り組みを把握するとともに、その促進に向けた教育実践に参画し、成果を考察した。また学校で使用できるワークブックや観光教育の意義を広く社会に伝える啓蒙冊子の作成に取り組んだ。(4)石川県、静岡県などの観光教育研修会に講師として参加し、今後観光教育に取り組む教員達の研修をサポートをするとともに、研究成果について現場の教員達と議論を行った。 以上の通り、研究を継続し成果を得たが、研究成果をより深化させ、その成果まとめ公開する段階には達しなかったため、次年度に研究を延長することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
政府が取り組む高等学校の観光教育推進事業に継続的に参加してきたが、2023年度は「地域活性化のための観光教育推進事業」に参画し、北海道ニセコ町・岩手県釜石市・静岡県島田市の観光教育の取り組みについてデータ収集と教育推進に向けて助言を行う事ができた。本事業を通して、地域における観光教育の推進方法やシビックプライドを含む観光教育の在り方を検討することができた。さらに教員向けの商業情報誌に「観光ビジネス」について、これまでの研究成果をまとめて論考を掲載することができた。全国で観光ビジネス教育に取り組む高等学校の教員に研究成果を伝える機会となった。他にも「観光ビジネス」を導入するためにいくつかの県の教育委員会などの要請で、観光ビジネス教育の研修会に複数回講師として参加し、研究の成果を生かし、議論を広げる成果も得た。 以上の通り、いくつも成果をあげることはできたが、当初の計画通りに進まなかったため、研究期間を1年延長することにした。2024年度は、新学習指導要領に「観光ビジネス」が導入実施され3年目の完成年度であり、実際に観光ビジネスを導入・実施する学校が増えるため、研究を継続することでさらに多くの調査データの収集も期待できる。これらの研究成果をまとめて、広く観光教育の現場に周知するプラットフォーム構築に取り組みたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
国が進める観光教育事業に参画し、実際に観光教育に取り組む学校や教育委員会、研究会の要請に対応することで、研究で得た知見を活用し、研修という機会を通して、教員達に様々な知見を提供することが出来た。しかし全国の観光教育の動向は目まぐるしく変化している。そのため調査はまだ不十分であると考え、2024年度も調査を継続する。また国や地域の観光教育の取り組みについて、引き続きサポートしながら成果をまとめ、様々な機会に関係者に提供する。そして研究のまとめとして、予定していた観光教育に関する知見を広く周知するためのプラットフォーム構築を試みたいと考えている。また所属する日本観光ホスピタリティ教育学会にて、2024年度~2025年度にグループ研究助成のメンバーとなり、高校の観光ビジネス教育に活用できる「ケース教材」の作成に取り組むことになった。これらの研究活動や教育実践を通して、高校の観光ビジネス教育の推進に必要な教材や教育方法を開発し、「観光ビジネス教育」の取り組みに有益で実践的な知見を収集する。2024年度以降に地域や各学校で本格的に導入される高校の観光ビジネス教育を軸に、観光教育の体系化についてさらに検討を加え、本研究の成果を広く周知するために「観光教育のプラットフォーム」の構築方法を検討し、研究成果を広く教育現場に周知できるように研究を進める予定である。
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