研究課題/領域番号 |
21K12494
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
平竹 耕三 京都産業大学, 文化学部, 教授 (30423073)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 花街 / コロナ禍 / 伝統文化 / 伝統工芸 / 和装 / 技術 / 材料 / 芸舞妓 / 伝統産業 / 観光 |
研究開始時の研究の概要 |
花街と関連する伝統産業や観光産業がコロナ禍から速やかに復興し、今後も日本の文化や観光の華として発展できるように政策研究を行う。 まず、アンケートや聴き取り調査などにより、花街や関連する産業の現状を把握し、それらがどのように産業として連関しているのかを明らかにする。それと並行して、伝統文化や伝統産業の振興に関する現在の政策・施策について分析評価を加える。 調査結果に基づき、花街と関連する産業のコロナ禍からの復興、今後の継承発展のために必要な政策の骨子を立案する。 研究成果は、報告書作成やシンポジウム開催などにより広く社会に明らかにするほか、文化庁、観光庁、自治体など官公庁への提言につなげる。
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研究実績の概要 |
2023年度はコロナ禍がようやく収まったこともあり、花街と伝統産業の現状について関係者へのヒアリング調査による把握及びそれぞれの歴史的な変遷について文献調査を行った。 京都の花街については、コロナ禍が収まれば収まったで営業が反転増となり、ヒアリングの日程調整に時間が掛かったため、計画よりは進捗が遅かった。また、コロナ禍におけるお茶屋や芸妓の営業的な実績に関する情報については、各花街のガードが固く、必要な情報を得ることができなかった。それに代わるものとしては、芸妓や舞妓の人数変遷、お茶屋の軒数の変遷などの情報は得ることができた。 伝統産業に関しては、これまで実績に記してきたように、そこに花街の占める割合が相当小さな業種が多く、両者が相まって相乗的に発展するというより、結局のところ伝統産業振興策のような漠然とした話にしかなりづらいところがあった。ただ、職人の問題、原材料や用具の問題、流通の問題など、伝統産業が抱える課題について、具体的な現状やそれに対して観光的要素を取り入れて新たな顧客層に訴求しようという取り組みや、ふるさと納税の返礼品などとして普及を図る取り組みなどを把握することができた。 こうしたことから、年度末近くになって、京都以外の花街と伝統産業の関係をとらえるべく、東京の花街へのヒアリング調査を始めた。2023年度内に実施できたのは、浅草見番だけであるが、京都の花街との仕組みの違いなど学ぶことが多く、続けて幅広く実施する意義を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
全般に遅れているのは、2022年度までのコロナ禍により、ヒアリング調査が想定したようにはできていなかったこと、2023年度に至ってコロナ禍は一定収まったものの営業回復してくるとお茶屋組合やお茶屋が多忙になり、遅れを取り戻すほどには調査が進まなかったことにある。 また、2023年度の取り組みとして、コロナ禍が一定収束したことを受けて、花街の営業データの情報提供を依頼したが、これは情報提供してもらえなかったため、それに代わるものとして何を調査するかを検討し調整するのに時間がかかったこと、結果的には芸舞妓人数やお茶屋軒数以外に提供を受けられるデータをうまく設定できなかったことがある。加えてその間隙を埋めるために歴史的な変遷を文献で調査するなどのことを行ったために、そちらにやや比重が掛かってしまったことなどが挙げられる。 加えて、2023年度はヨーロッパのジャーナルに本研究とは直接の関係がない査読付き論文を2本掲載することになり、その執筆、翻訳、チェックなどで相当の労力を要したため、実質的に本研究に割ける時間が少なくなったということもある。
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今後の研究の推進方策 |
現在考えている今後の推進方策は、大きく4点ある。 まず、京都の花街全体というよりある特定の花街を取り出して、そこについて徹底的に調査し、本来目指していた全体像を明らかにする。一つの花街で成功すれば、他の花街へと広げていく手法で臨む。 次に、2023年度及び2024年4月度に調査を実施した東京の花街と京都の花街との大きな違いを目の当たりにして、振興策を検討するためには、改めて花街の定義から始める必要性を痛感したため、可能な限り京都以外の花街の調査を行い、守っていくべき花街の要件は何かということを明らかにする。 三つ目には、花街の客側ということで、経済界へのアンケート調査やヒアリング調査を実施し、最も課題となっている客を増やすための方策について検討を行う。 最後に、伝統産業に関しては、文化庁の京都移転から1年がたち、一定の落ち着きがあると伺ったので、経済産業大臣による伝統的工芸品の指定と文化庁長官による伝統工芸の保持団体認定の制度的特性及び実際の運用を調査し、その問題点を明らかにする。
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