• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

変容する都市郊外空間における男性住民の地域「参加」-ジェンダー再構築に注目して

研究課題

研究課題/領域番号 21K12504
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分80030:ジェンダー関連
研究機関東京女子大学 (2022-2023)
群馬県立女子大学 (2021)

研究代表者

関村 オリエ  東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (70572478)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード都市郊外 / ジェンダー / 地域「参加」 / 人文地理学 / 男性 / 地域
研究開始時の研究の概要

少子高齢化や自治体財政の縮小化傾向にある中で、過渡期にある都市空間、特に郊外においては、「男性=勤め/女性=家事」といった近代核家族の概念に下支えされた性別役割分業が終焉を迎えている。本研究は、このような計画空間としての都市郊外の変容と男性住民の生活実践とを明らかにし、彼らのジェンダーやその再構築が空間の変容にどのような影響を及ぼすのかを考察することである。

研究実績の概要

本研究の目的は,性別役割分業や規範を問い直すジェンダーの視点から,計画空間としての都市郊外の変容・再編を,そこに暮らす住民たちの日常的実践から分析・検討していくことである.本研究では,とりわけ見過ごされることの多かった男性たちのジェンダーに着目することで,男性たちはどのように地域・家庭に進出しつつあるのか,また地域や家庭など彼らにとっての新たな領域において,いかなる実践を展開するのか,そしてそれらは実際の地域・家庭にどのような影響をもたらすのかということを考察したいと考えている.
2023年度の研究実績の内容は以下の二点である.まず,大阪府豊中市における働き盛りの男性(父親)たちの補足的調査とその報告である.男性(父親)たちの地域「参加」については,近年「おやじの会」等の任意団体(組織)による活動が注目されている.本研究でも「地域の新たな担い手」として期待される男性たちに注目して調査を行ってきた.しかし,現役世代の男性たちにとって,こうした活動は職場での就業と並行して行われるもので,家庭責任などをともなったものになりにくいことが分かってきた.これに関連して,「新・性別役割分業」のように家庭責任の分担問題が解消されないまま,公共空間(たとえば地域社会)の担い手がいまだ妻や母親など女性たちに依拠したものになっていることが明らかになった.
次に,群馬県伊勢崎市における団地の高齢化と外国にルーツをもつ人びとの定住化についての調査研究の実施である.伊勢崎市は,自動車部品をはじめ食品や衣料品等の工場が立地する首都圏の縁辺部の都市になるが,近年,人口の高齢化とともに工場労働者となる人びと(外国人,外国にルーツをもつ人びと)の定住化が進んでいる.本研究ではこうした「地域の国際化」がもたらす新たな動きを,参与観察とインタビューを通じて明らかにすることを目指している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度から2022年度にかけては,所属機関のCOVID-19による出張制限,また対象地域における行動制限があり,当初計画していたようなフィールドワークを進めることが出来なかった.ただしこの間,既にこれまで調査を行って収集した資料の整理や文献収集を行うことが叶い,本研究に関するいくつかの課題を進めることが出来た.また,こうしたフィールドワークの制限期間には,研究協力者とのメールや手紙による地域状況や研究に関する情報・意見の交換等を行い,関係性の維持や調査再開に向けた更なる関係構築にも努めた.
COVID-19による行動制限とその影響が尾を引く期間中は,テーマに関する研究会(オンライン)の実施やシンポジウム参加を行った.ここでの議論は,研究成果として公表することが出来た.2023年度は,フィールドワークの進捗については滞ってしまった反面,対象地域に関する文献を通じた理解と,ジェンダーと地理学の最新議論の理解・公表に取り組むことが出来た.研究協力者や研究者ネットワーク等の関係性構築については引き続き努めていきたい.

今後の研究の推進方策

2024年度は,COVID-19の行動制限が概ね緩和・解除されたので,研究課題である大阪府と群馬県のフィールドワークを進めていきたいと考えている.2022年度,2023年度中は,従来の先行研究や文献,関連資料による成果となってきたが,今後はフィールドワークに基づくデータの収集とこれらを活用した研究成果の公表を目指していきたいと考えている.研究成果の公表については,2024年度に国際地理学会への参加(アイルランド・ダブリン)の機会を活用して,日本のジェンダー地理学の事例研究を国際的な潮流に位置づけられるように努めていきたい.国際的・学際的な研究者ネットワークの構築の機会も得られるため,多角的な議論を取り込めるよう努めていきたい.いずれにせよ,研究協力者により実現される本研究の成果を,学術や社会に幅広く還元・共有することを目指していく.

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (14件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (5件) (うちオープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] ひらかれた都市空間のために―ジェンダーの視点を取り入れたまちづくりの可能性2024

    • 著者名/発表者名
      関村オリエ
    • 雑誌名

      CEL(Culture, Energy and Life)

      巻: 134 ページ: 20-25

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 学びのスイッチ―男女共同参画AtoZ―ジェンダーレンズで読み解くSDGs: 第7回 住み続けられるまちづくりを2023

    • 著者名/発表者名
      関村オリエ
    • 雑誌名

      We learn

      巻: 834 ページ: 14-15

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] ジェンダーから問い直す地理学5―ジェンダーの視点と地理学2023

    • 著者名/発表者名
      関村オリエ
    • 雑誌名

      地理

      巻: 68(11) ページ: 8-9

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 群馬県における絹産業と近代化遺産-桐生市の遺産登録に注目して-2023

    • 著者名/発表者名
      関村オリエ
    • 雑誌名

      専修大学社会科学研究所月報

      巻: 715・716 ページ: 26-44

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 縮小する国内蚕糸業と絹へ回帰する産業遺産-群馬県桐生市の事例-2022

    • 著者名/発表者名
      関村オリエ
    • 雑誌名

      専修大学社会科学研究所月報

      巻: 710・711 ページ: 57-74

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 地域について2024

    • 著者名/発表者名
      関村オリエ
    • 学会等名
      伊勢崎市羽黒町自治会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 陸前高田における災害公営住宅居住者の新しいつながりと場所―「被災地」陸前高田の場所再構築と地理学(2)2023

    • 著者名/発表者名
      関村オリエ
    • 学会等名
      日本地理学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 陸前高田の公営住宅と入居者たちの新しい「つながり」2023

    • 著者名/発表者名
      関村オリエ
    • 学会等名
      シンポジウム「陸前高田の地域と風土の再構築-震災12年目に考える」
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 『フェミニスト・シティ』を読む(1)-女性の友情の視点から-2023

    • 著者名/発表者名
      関村オリエ・熊谷圭知・久木元美琴
    • 学会等名
      日本地理学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] コミュニティとジェンダー-空間・場所からのアプローチ-2022

    • 著者名/発表者名
      関村オリエ
    • 学会等名
      杉並区公開講座
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「織物のまち」桐生の記憶と住民たちのいま2022

    • 著者名/発表者名
      関村オリエ
    • 学会等名
      専修大学社会科学研究所研究会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] The participation of fathers in the reproductive sphere in Japan: Focus on their masculinity in community activities.2021

    • 著者名/発表者名
      Orie Sekimura
    • 学会等名
      34th International Geographical Congress, Istanbul, Turkey
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [図書] 地理学事典2023

    • 著者名/発表者名
      公益社団法人日本地理学会編
    • 総ページ数
      844
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      9784621307939
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 『「政治」を地理学する―政治地理学の方法論』2022

    • 著者名/発表者名
      山﨑孝史編
    • 総ページ数
      236
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi