研究課題/領域番号 |
21K12515
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 名古屋女子大学 |
研究代表者 |
山田 千聡 名古屋女子大学, 家政学部, 助教 (10847271)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 翻訳家政書 / 家内心得草 / 穂積清軒 / イザベラ・ビートン / 主婦 / 家政書 / 料理書 / 翻訳 / 明治 / 近代英米 / ジェンダー / 比較研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、主として明治期に出版された家政書や婦人雑誌の記事を比較分析する。主婦概念が翻訳を通して明治社会で再構築され、変容していく過程を考察することで、明治政府のジェンダー戦略と翻訳行為の問題点を明らかにすることが研究の主な目的である。近代日本の主婦概念をめぐっては、欧米諸国との比較研究や翻訳に着目した研究が十分に行われてこなかった。そこで、本研究では翻訳学・ジェンダー学・家政学・歴史社会学の視点から、近代日本における主婦規範の形成過程を多角的に分析する。
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研究実績の概要 |
2024年度は研究計画に従い、明治初期の翻訳家政書と原書のテクストを比較分析し、翻訳書にみられる独自のジェンダー規範と訳者の翻訳意図の解明を目標とした。翻訳家政書のなかでも特に、既婚女性の呼称として「主婦」を使用している『百科全書 家事倹約訓』、『家内心得草:一名保家法(本編)』、『経済小学 家政要旨(前編)』の内容分析に注力した。その過程で、『家内心得草』の原典が先行研究で特定されたものと異なる文献であることを発見した。そのため、研究計画の一部を変更し、新たな原典候補と『家内心得草』の訳者・穂積清軒に関する調査に取り組んだ。次に、新原典候補と『家内心得草』本文の比較分析を進め、訳出率や章立て・翻訳の特徴等について考察した。その結果、穂積が高い翻訳力を駆使し、原文を取捨選択しながら、正確に訳出したことが分かった。とりわけ、穂積が家庭の家計管理や子どもの養育・看護に関する項目を重要視し、明治社会に馴染まない欧米文化に関する項目を省いて翻訳したことが明らかとなった。これらの成果を(一社)日本家政学会中部支部大会にて口頭発表し、論文にまとめて学会誌へ投稿した。本調査により、『家内心得草』の原典とされていたThe Book of Household Managementの編集者イザベラ・ビートンの他の作品が、明治期に複数翻訳・出版されていたことが判明した。さらに文献調査を進め、明治期に出版されたThe Book of Household Managementの別の抄訳本が存在することも突き止めた。そこで、この文献の翻訳者に関する調査に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
育児休業・時短勤務のため、研究計画に挙げていた江戸時代の女訓書の収集・本文分析に着手できていない。また、『家内心得草』の新原典候補の調査に取り掛かったため、翻訳家政書の比較分析に十分時間を割くことが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の調査により判明したイザベラ・ビートンのThe Book of Household Management以外の作品を抄訳した文献について、引き続き収集・分析を行う。それらの文献において、主婦概念がどのように翻訳されたか考察を進める。また、研究3年目の課題に取りかかり、翻訳事業により誕生した翻訳家政書が、それ以外の家政書や婦人雑誌に表象された主婦像の構築に与えた影響の有無を検証する。
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