研究課題/領域番号 |
21K12517
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
伊藤 公雄 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (00159865)
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研究分担者 |
大束 貢生 佛教大学, 社会学部, 准教授 (20351306)
藤野 敦子 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (50387990)
多賀 太 関西大学, 文学部, 教授 (70284461)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 男性性 / ジェンダー平等 / 剥奪感 / 男性危機 / 剥奪感の男性化 / 男性性の危機 / 男性政策 / ジェンダー / ジェンダー政策 / 剥奪(感)の男性化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、Toxic Masculinity 概念の登場に見られるような現代社会における「男性性のゆらぎ」や「男性性の危機」を、「剥奪感の男性化」(伊藤、2018他)という観点から読み解き、その対応策を、ジェンダー平等政策の中に位置づけることを目的としている。 1990年代以後国際的にも急激に拡大しつつある男性学・男性性研究( Men & Masculinity Studies )の領域においても、こうした「剥奪感」を男性性と結びつけて考察した研究はこれまでになく、研究成果は、国際的にも高く評価される可能性をもった学術的独創性・創造性をもっていると考えられる。
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研究実績の概要 |
最終年度(2023年度)は、これまでの研究成果をもとに、男性が抱く剥奪感についてのアンケート調査に向けての調査設計を進めた。その上で、オンラインによるアンケート調査を実施した。現在、アンケート調査の結果の分析が進行中である。 本研究は、現代社会におけるジェンダー平等の深化のなかで、そこから「取り残された」気持ちをいだいていると想定される男性の意識を、「剥奪感」として位置付け、その内容を文献研究やアンケート調査を通じて明らかにしようとするものである。これまでの研究を通じて、現代男性の抱く剥奪感情を、以下の6つの視座から考察することとした。すなわち①経済的剥奪(経済的レベルで感じる剥奪感情)②社会的剥奪(社会的威信・社会的力や地位をめぐる剥奪感情)③有機体的剥奪(精神及び身体的健康面での剥奪感情)④倫理的剥奪(自分の理想とする社会と現実とのズレから生じる剥奪感情)⑤精神的剥奪(自分が価値ある世界から疎外されているという剥奪感情)さらに⑥性的剥奪(性的関係から疎外されているという剥奪感情)である。これらの剥奪感は、それが男性自身に向かえば、自殺や鬱、さらにはアルコール中毒や薬物中速に向かう可能性がある。また、それが自分の外側に向かへば、時に社会病理的な行動を生みかねない。具体的には、家庭内におけるDVや幼児虐待、さらには、近年、世界中でひろがりを見せている男性による無差別凶悪犯罪などが考えられる。安定した社会関係、人間関係の再構築に向けて、ジェンダーに敏感な視点から、ジェンダー平等に向けての男性対象の政策提言が必要になる。なかでも、スウエーデンがすでに1986年に開始した「男性危機センター(男性相談、DVなどの加害男性への非暴力トレーニング、DV加害および被害男性の一時的保護の機能などをもつ)」は、重要なヒントを与えてくれると思われる。
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