研究課題/領域番号 |
21K12519
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
山本 彩乃 佛教大学, 公私立大学の部局等, 非常勤講師 (10897820)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ジェンダー / ナショナリズム / メディア / 植民地主義 / 奥村五百子 |
研究開始時の研究の概要 |
愛国婦人会の創設者である奥村五百子はメディアを通じて著名となり、そこで流通・拡散された奥村五百子像に女性達は憧れた。そこで、本研究では日本や植民地であった朝鮮・台湾の日本語メディアの奥村五百子が登場する記事を収集し、地域や時期に分けて比較・分析することで、メディアによって流通・拡散した奥村五百子像が、日本女性がナショナリズムや植民地主義に絡めとられる上で、どのような役割を果たしたのかを明らかにする。これにより、日本国内や朝鮮や台湾といった「帝国」全体を射程に入れた日本女性の「国民」化過程について、メディアという観点から各地域・時期を比較することでその全体像を把握する。
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研究実績の概要 |
2023年度は新型コロナの規制緩和やコロナの5類への移行があったが、インバウンドの拡大や円安に伴う国内旅行の需要の高まりから、調査地への移動や宿泊がかなり困難になった。また極度の円安により、海外での調査活動が著しく困難になり、本年度では可能な範囲での調査活動を行うこととなった。非常に厳しい状況下ではあったものの、インターネットでの資料調査、古書市等での資料収集に勤しみ、奥村五百子や奥村五百子に関連する資料収集に励んだ。このような地道な調査活動により、従来の研究では垣間見ることができなかった貴重な資料の発見があり一定の成果があった。また、オンラインで海外の研究者による講演会を開き(2024年2月3日「帝国のブローカー阿部充家と朝鮮統治」李炯植(イ・ヒョンシク/高麗大学校 亜細亜問題研究院 教授)による講演会を開いた。この研究発表の大まかな内容は、阿部充家が植民地期に朝鮮で発行されていた「京城日報」という主に在朝日本人向けの新聞社の社長に就任したことにより、阿部が現地の人々と日本人の有力者を繋ぐ、ブローカー的な役割を果たしたという内容の講演会であった。本研究の課題である奥村五百子表象をメディアから読み解く上において、「京城日報」は非常に重要である。奥村五百子の存在は在朝日本人の中では象徴的な存在であり、内地とはまた違った形で日本人の中では大きな存在であった。植民地朝鮮において奥村五百子が日本人の間でどのように語られていたのかということを分析する上においても、「京城日報」のことについて知ることが重要であるため、このようなオンライン講演会を行った。また韓国の研究者との交流を通じて、日本よりも在朝日本人研究が盛んな韓国の現状を知ることで、日本から見ることができない、複雑に入り組んだ植民地朝鮮と日本人について新たな知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの規制が緩和されたことによる、インバウンド需要の高まりや国内旅行の広がりにより、調査地への移動や宿泊施設の予約が大変困難であった。日々高騰し続ける宿泊費は個人の力では贖えないものがあった。宿泊費の異常な高騰により調査活動が困難な状況下に置かれている。また過去まれに見る円安により、調査が難航している。
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今後の研究の推進方策 |
インバウンド需要の拡大や円安に伴う国内旅行の需要の高まりによる、ホテル代の高騰や予約が困難になっていることから、国内調査が困難になってきている。近年の過去まれに見る円安により海外での調査活動の難航が予想されるが、これらの状況が改善する見込みが全くないため、本年度は打開策を講じることで積極的な調査活動を行うこととする。秋には韓国ソウル大学との合同の研究大会に協賛として参加することが既に予定されているので、一定の成果が期待できる。本年度では現在まで行った調査ならびに、ソウル大学との研究大会での発表を通して得た研究成果を論文として発表する。
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