研究課題/領域番号 |
21K12520
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
藤井 ひろみ 大手前大学, 国際看護学部, 教授 (50453147)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 性的指向 / 性自認 / 性の多様性 / リプロダクティブ・ヘルス / リプロダクティブ・ライツ / ジェンダー / 多様性 / 助産 / Sexual/Gender Minority / 性的少数者 / LGBTQ / 助産師 / 男性助産師 / 出産 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、多様なgender状況に対応する出産と助産ケアの論理を見出すことを目指し、複数の国・地域(オーストラリア、ニューシーランド、シンガポール、タイ、韓国、台湾)と日本において、出産する人のgender状況により出産の形態や経過に差異があるかどうかを、出産を経たトランスジェンダーやレズビアンと、そのケアを提供した助産師へのインタビューによって、明らかにしようとするものである。これらの比較は、文献レビューによる各国・地域の性別規定を含めた制度の比較と併せて検討する。本研究により、出産者の多様なSOGIに対するケアについて、その理論的根拠を抽出する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、5月に日本国内においてCOVID-19が感染症法上の5類に分類されたことを受け、研究者の国内での環境が変化し、当初の予定に近い状態で海外でのインタビュー等を実施できるようになった。予定していた対象6か国などのうち、下記の国でヒアリング等を行った。 6月インドネシア:バリICMにて、本研究の成果の一部を発表 8月台湾:ヒアリング(台湾平等キャンペーン) 10月韓国:ヒアリング(Korean Sexual-Minority Culture and Rights Center) また国内では、10月に最高裁判所が「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」で性別変更のために性別適合手術を要件としていることは、日本国憲法に違反するとの判断を示した。これを受け、性別適合手術を経ずに性別変更を行う事例(FtM)も社会的に広く報道等もされるようになった。こうした法的背景と、この間に研究者が行ってきた文献検討やヒアリングの結果を踏まえて、12月にはオンラインシンポジウムにて現状の論理的整理とレズビアン・バイセクシュアル女性の事例を報告した。このシンポジウムは、研究者以外の国内のクイアスタディー領域の研究者、およびステークホルダーから、LGBT等に対するリプロダクティブヘルスに関わるケアへの要望等を、意見を聞く場となった。研究計画に沿って、今後は本研究で得られた知見を、日本語の他、多言語(英語、中国語、韓国語)のリーフレット(冊子体とWEB版)にまとめ、協力機関と研究参加者に送付することとし、1年間の研究期間延長申請を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19パンデミック後も国内医療機関では2023年5月まで厳格な感染管理を要し、研究者の職能上、国外での自由なフィールドワークの実現が遅れたことが理由である。研究実績の概要で述べた通り、2023年度からは計画通りの進捗に回復したが、報告書の作成については、計画を1年間延長して行うこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、多様なgender状況に対応する出産と助産ケアの論理を見出すことを目指し、複数の国や地域と日本において、出産する人のgender状況により出産の形態や経過に差異があるかどうかを、出産を経たトランスジェンダーやレズビアンと、そのケアを提供した助産師へのインタビューによって、明らかにしようとするものである。ただしこれらの比較は、文献レビューによる各国・地域の性別規定を含めた制度の比較と併せて検討することとした。インタビューの実現は困難であったが、一部の国の助産師へのインタビューは実現し、前述の文献検討結果と併せて、出産者の多様なSOGIに対するケアについて、その理論的根拠について検討した結果を、報告書にまとめることを次年度に行う計画である。またその検討の一部は、2023年のICMバリ大会での発表やシンポジウムや公益社団法人家族計画国際協力財団のシンポジウムを通じて、現時点での基本的なアイデアを公開し、他の研究者等からの批判的吟味を受ける機会を設けた。それらを踏まえて、さらに検討を精錬させていく。
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