研究課題/領域番号 |
21K12524
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
前山 拓哉 北里大学, 理学部, 助教 (70612125)
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研究分担者 |
深作 和明 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 客員研究員 (80283266)
犬井 洋 北里大学, 理学部, 准教授 (20348600)
福西 暢尚 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 副部長 (00523656)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ゲル線量計 / LET非依存 / 3次元線量分布 / 化学線量計 / 蛍光プローブ / 放射線化学 / 重粒子線治療 / ナノクレイ / 三次元線量分布 / 放射線治療 / 水溶液線量計 / 蛍光 |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍の形に合わせて線量を集中させた照射を行う高精度な放射線治療が普及してきている。それに伴い、複雑になった線量分布を検証するための線量計の開発が進められている。2019年に、ナノクレイのみをゲル化剤とし、蛍光プローブを加えることで作られる蛍光ゲル線量計を開発した。化学測定手法の中で最も高感度な蛍光測定を用いることで、1Gyオーダーが測定限界である従来の3次元ゲル線量計に対して、大幅な高感度化が期待できる。本研究では、新規に光化学反応の抑制方法を検討し、さらなる高感度化を目指す。また、緻密な照射が可能な重粒子線に対する特性評価並びに、重粒子線治療への応用研究を進める。
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研究実績の概要 |
研究期間全体を通じて実施した研究では、蛍光ゲル線量計の開発において重要な進展がありました。研究の成果の一つは、ゲル線量計への光安定性の付与です。分散剤の添加による光化学反応の抑制法を新たなアプローチとして取り入れ、放射線誘起の化学反応効率を低下させず、光安定性と線量計としての感度を向上させました。これにより、従来のゲル線量計よりもはるかに低い線量(数cGy)レベルでの測定が可能となりました。最終年度には、これらの成果をさらに発展させ、重粒子線治療への応用を中心に研究を行いました。この研究により、LET非依存の感度特性を有する高感度な蛍光ゲル線量計の開発に成功しました。現存のLET非依存のゲル線量計(ナノクレイ添加フリッケゲル線量計)よりも2桁感度が高く、重粒子線治療における線量分布の正確な評価に寄与することが期待されています。また、LET非依存の感度を保つ特性は線量計平均LET(25-8000 keV/μm )の範囲まで維持することが実験的に明らかとなり、これによって世界で初めて放射線の線質を問わない3次元線量計が実現しました。この特性は、現在進められているマルチイオン照射などの新たな治療法においても極めて有用です。このような3次元線量計の開発は、放射線治療の分野において革新的な進歩となります。従来の線量計は放射線の線質に依存しており、その線質が大きく変化する場合は正確な測定が難しかったため、治療計画の精度や安全性に影響を及ぼす可能性がありました。しかし、LET非依存の線量計が実用化されれば、さまざまな種類の放射線に対して一貫して高精度な線量評価が可能となり、新たな治療法の開発や既存の治療法の改善に大きく貢献するでしょう。
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