研究課題/領域番号 |
21K12535
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
瀬戸 誠 京都大学, 複合原子力科学研究所, 教授 (40243109)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | コヒーレントγ線 / メスバウアー効果 / 波形制御 / 偏光制御 / コヒーレントガンマ線 / 偏光・波形制御 |
研究開始時の研究の概要 |
原子核への外部磁場およびオングストロームオーダー高精度位置制御などの動的な摂動により偏光および位相を制御した単一ガンマ線光子を生成し、その生成されたガンマ線光子に対して偏光状態および位相の変更を実現することを目的とする。そしてガンマ線の相関状態を測定するために、散乱ガンマ線のエネルギー・時間および外部摂動の信号全てを記録して相関を調べることの可能な先進的な計測系の開発を実施する。
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研究実績の概要 |
本研究では、振動共鳴吸収体を用いてガンマ線の波形を制御する研究を行なっているが、これは、単一エネルギーガンマ線放射源に対して吸収体が一定の周波数で振動する場合、透過放射スペクトルには、基本波に加えて高次振動周波数が付与された成分から構成されることを利用したもので、基本波に対する高次成分の振幅比は吸収体のサブナノメートルオーダーの振動振幅によって制御される。放射性Co-57線源から放出される14.4 keVガンマ線を用いたこのような振動数変調は、水晶振動子およびポリフッ化ビニリデン(PVD)などの圧電デバイスに接着されたステンレスフォイル中のFe-57のメスバウアー分光法などによって確認されているが、試料の振幅が全体として均一であると仮定したモデルとは一致せず、振動数分布の存在が示唆された。そこで、このような試料における振動数分布を明らかにし、単一振動によるコヒーレントガンマ線の生成を目指して、放射光X線を100μmに集光したものを線源として測定を行った。その詳細については現在解析中であるが、特にPVDフィルムにおいてはこのビームサイズにおいてはほぼ振動数分布のない単一の振動数で分布していることが示唆される結果となった。さらに、振動子駆動用のファンクションジェネレータからの制御信号、放射光パルス信号およびガンマ線光子との相関時間測定については、高速MCS(Multi-Channel Scaler)システムを用いた相関時間スペクトル測定を実施し、測定後に時間スペクトルを再現可能であることを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単一エネルギーガンマ線放射源に対して吸収体を一定の周波数で振動させ波形制御を行ったコヒーレントガンマ線については、試料の振幅が全体として均一であると仮定したモデルとは一致せず、振動数分布の存在が示唆されていたが、本研究では、その振動数分布の様子についてマッピング測定を行うことで明らかにし、ほぼ単一振動数と考えられるコヒーレントガンマ線の生成に大きく前進したものと考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
ほぼ単一振動数と考えられるコヒーレントガンマ線の生成の可能性が進展したため、今後は、当初よりも共鳴透過体の制御システムの高精度化を目指すこととした。また、これまでに開発を行ってきた偏光ガンマ線を用いた測定および外部磁場変調による偏光・周波数変調を実現する。また、この線源および開発した測定系を用いて、時間-エネルギー同時測定が実現可能であることを検証していく。
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