研究課題/領域番号 |
21K12537
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
神田 浩樹 大阪大学, 核物理研究センター, 講師 (40321971)
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研究分担者 |
福田 光宏 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (60370467)
依田 哲彦 大阪大学, 核物理研究センター, 講師 (30372147)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | サイクロトロン共鳴 / 高周波共振空洞 / 計算シミュレーション / チューニング機構 / 加速技術 |
研究開始時の研究の概要 |
磁場中の荷電粒子の周回周波数と印加する高周波電磁波の周波数が等しい場合に発生するサイクロトロン共鳴を用いた陽子加速器の開発を行う。極めて強い磁場を用いることから必要とされる荷電粒子の収束性に対する制限が小さく、周回する粒子を繰り返し加速することで電磁波から粒子の運動へのエネルギー伝達効率を高めることができるために、既存の加速技術をはるかに超えた高効率・大電流の加速器を構成することができる。電磁波の共振空洞、強磁場を発生する電磁石システム、入射・引き出しも含めた軌道解析など多くの技術的課題を一つ一つ克服し、シミュレーションを元にした概念設計を行う。また、モデル共振空洞を製作し試験を実施する。
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研究実績の概要 |
サイクロトロン共鳴加速に使用する回転TE111モードの円筒形共振空洞の計算機シミュレーションを継続し、ミューオン加速・減速を想定した500 MHz用RF共振空洞のための入力機構、チューニング機構の検討を実施した。この結果、チューニング用の金属棒による電磁場の乱れが当初の計算値以上に大きく、電場の方向を大きく変えてしまうことが判明した。そのため、チューニングによる電磁場の乱れが小さくなる構造を見出すべく共振器の構造と調整機構の構造全体を見直しを行い、計算用のモデルの再構築を行った。 また、粒子軌道シミュレーションでは成功している加速の実証のため、電子を加速するテストベンチの構築を行った。このテストベンチは電子サイクロトロン共鳴イオン源用の共振空洞およびミラー磁場生成用の永久磁石の設計をベースに再設計を行うことで、比較的短時間に設計を完了することができた。永久磁石については既存のものを流用し、さらに鉄製のヨークや調整板を用いることで、加速に必要な平滑なソレノイド磁場を十分な空間的領域にわたって生成することが可能なことが磁場シミュレーションによって示されたことから、短時間で製作を行うことができた。また、RF機器の構成を検討して必要な機材を調達するなど、実証に向けた準備を進めた。なお、このテストベンチではRF共振器として本来であれば必要であるチューニング機構は省いて製作を行ったが、これは長期の安定は求めておらず設計製作を迅速に進めるためである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
円筒型共振器に縦偏波・横偏波の2系統の高周波を導入する構造において、それぞれの系統の周波数チューニング機構についての計算シミュレーションによる設計を続行したが、相互の影響を小さくできるような構造を見出すことが困難であり時間を費やした。他の研究者との議論の結果、共振器の構造全体の見直しをすることになり、シミュレーション用のモデルの再構築を行うこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
新規に構築したモデルを用いた共振器の計算機シミュレーションは継続して実施し、チューニング機構の開発、設計を進める。 昨年度より設計と製作を進めてきた電子加速用のテストベンチのRF特性や電子銃の性能試験を6月までに実施し、加速の確認を今年度中に行う。この結果をもって論文とし、学術雑誌への投稿を完了する。
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