研究課題/領域番号 |
21K12556
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 福岡看護大学 |
研究代表者 |
三好 麻紀 福岡看護大学, 看護学部, 准教授 (00595259)
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研究分担者 |
窪田 惠子 福岡看護大学, 看護学部, 教授 (20309991)
庄山 茂子 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (40259700)
青木 久恵 福岡看護大学, 看護学部, 教授 (70526996)
門司 真由美 福岡看護大学, 看護学部, 准教授 (80527002)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 高齢者 / 薬の飲み間違い / ピクトグラム / デザイン / PTPシート / 色の判別 / PTPシートの誤飲 / 安全 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢化が進む日本において、高齢者は複数の疾患を抱え、多くの内服薬を服用している。高齢者に多くの薬剤が処方される中で、薬の飲み残しによる医療費の増大や薬の飲み間違い、過剰内服が問題となっている。また、PTPシートの誤飲による事故も起きている。そのため、これらの問題を解決することは喫緊の課題である。 本研究では、高齢者が内服薬を飲み残すことや誤って内服すること、過剰に内服することを防ぐために、認識しやすい錠剤の色とPTPシートの色や柄、並びに掴みやすい錠剤の形状を明らかにする。
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研究実績の概要 |
高齢者の内服薬の飲み間違いを防ぐために、これまで、高齢者が判別しやすい錠剤の色や錠剤のPTPシートの色とデザインの研究を行った。薬の飲み間違いを防ぐ方法として、錠剤の色やPTPシートの色とデザインだけでなく、ピクトグラムの使用も効果的ではないかと考え薬のピクトグラムに着目した。誤服薬防止に役立つ薬のピクトグラムの図案および配色デザインを明らかにすることを目的に、高齢者91名を対象に内服等の生活実態、各サンプルについて最もわかりやすい図案・配色および選んだデザインの誤服用防止効果についてアンケート調査を行った。図案編集では、一般社団法人 くすりの適正使用協議会に許諾を得、既存のピクトグラム8種に各4種の絵柄を加えて作成し、配色は既存の8種にそれぞれvividトーン10色相のサンプルを作成し、黒、顔色を加えた。調査の結果、前期高齢者は同居、後期高齢者は独居が多かった。また、白内障患者は後期高齢者の方が多く、全体の87.9%が薬を内服していた。わかりやすい図案について、「内服薬」、「カプセルはパッケージから取り出す」では既存の絵柄が、「朝、1回飲む」等のその他のピクトグラムでは作成した絵柄が多く選択された。実際の行為が表現されていることや絵のシンプルさがわかりやすさに影響することが推察された。ピクトグラム内の文字表記も有用性が高いことが示唆された。「内服薬」等の人が描かれている場合、顔色に赤い薬を描いたピクトグラムの評価が高く、「他の薬と一緒に飲んではいけません」等の禁止事項では、黒を用いたピクトグラムの評価が高かった。大切な情報や複雑な情報は色分けし、明度差やイメージを考慮することが効果的と考えられた。わかりやすいと選択されたサンプルは、図案と配色の両方において6~8割の高齢者が役立つと回答した。改善の余地はあるが、誤服薬防止に薬のピクトグラムは有効であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、高齢者が内服薬を飲み残すことや誤って内服すること、過剰に内服することを防ぐために、認識しやすい錠剤の色とPTP包装シートの色や柄、並びに掴みやすい錠剤の形状を明らかにすることを目的としている。 2022年度は、高齢者を対象に市販の錠剤を用いた「掴みやすい錠剤の形状について」の被験者実験を予定していたが、COVID-19の感染防止の観点から実施できなかった。計画通りに被験者実験を実施することができなかったが、高齢者の薬の飲み間違いを防止する一つの手段として、ピクトグラムに着目して図案および配色デザインについて、アンケート調査を実施し分析した。そのため、おおむね順調に遂行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、高齢者の内服薬の飲み間違いを防ぐために、高齢者が判別しやすい錠剤の色に関する実験、錠剤のPTPシートの色とデザインに関する実験を、高齢者の視覚を高齢者擬似体験装置の眼鏡を装着して再現させた女子大学生を対象に行い、報告している。また、2022年度は、高齢者を対象に、高齢者がわかりやすい薬のピクトグラムのデザインについてアンケートによる調査を実施した。 今後は、高齢者の手指の巧緻動作機能の低下による錠剤の掴みやすさに着目し、在宅で内服治療を行う高齢者を対象に、円や楕円などの異なる直径や厚みの市販の錠剤を用いて、掴むまでの時間や掴んで移動させる時間、取り落とした数等を調査、分析し、高齢者が掴みやすい錠剤の形状を明らかにする。また、これを報告する予定である。
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